ヘアカット100のフロントマンとしてデビューし、その後のソロ活動においてもポップ・ファンの心を鷲掴みにしてきた稀代のソングライター、ニック・ヘイワード。今年の〈サマソニ〉への出演も発表されている彼が、8月13日(月)にBillboard Live OSAKA、8月15日(水)と16日(木) にBillboard Live TOKYOで単独公演を行う。

80年代前半より数多の名曲を世に送り出してきたヘイワードだけに、この単独公演は彼のグッド・メロディーを浴びるように堪能できるチャンス。〈サマソニ〉に行くファンであっても、ここはBillboard Live公演にも足を運びたいところだ。

61年生まれ、英ベックナム出身のニック・ヘイワードは、10代の頃にアートスクールの学友たちとバンドを結成。何度か名前を変えたあと、最終的にヘアカット100として81年にデビューをはたす。ときはポストパンク全盛、なかでもオレンジ・ジュースやアズテック・カメラ、ペイル・ファウンテンズといった、日本では後に〈ネオアコ〉と呼ばれるスタイルのインディー・バンドが台頭してきており、ヘアカット100もその代表的な存在であった。後年、フリッパーズ・ギターが彼らの名前を拝借した楽曲“バスルームで髪を切る100の方法”(90年)を作ったことも後押しして、特に日本のリスナーからは長きにわたって親しまれてきたバンドと言えよう。

ヘアカット100の82年作『Pelican West』収録曲“”Favourite Shirts(Boy Meets Girl) 
 

ヘアカット100のファースト・アルバム『Pelican West』(82年)は全英2位をマークするなど、商業的な成功を収めるなか、翌年にヘイワードはバンドを脱退。すぐさまソロ初作『North Of A Miracle』(83年)をリリースした。同作は、ヘアカット100時代のファンカラティーナな踊れるサウンドを残しつつも、よりソングライティングの面では磨きがかり、端正なアレンジとともに〈普遍的な〉ポップ・アルバムとして実を結んだ名盤。

以降も『Postcards From Home』(86年)、『I Love You Avenue』(88年)と時流のサウンドを意識しつつも、持ち前の清々しいメロディーを活かした傑作を次々と世にに送り出す。90年代に入ってもコンスタントにアルバムをリリースし続け、派手なチャート・アクションこそなかったが、英国の誇るソングライターとして存在感を発揮していた。

83年作『North Of A Miracle』収録曲“Take That Situation”のパフォーマンス映像
 

しかしながらヘイワードは、どういうわけか21世紀に入ると沈黙。2004年以降のヘアカット100・再結成ライヴなどで人前に姿を現してはいたが、古くからのファンは〈もう新しい音源を作ることは諦めてしまったのかな〉と思い続けて約20年……突然届いたのが昨年リリースの復活作『Woodland Echoes』であった。

重ねた年齢を反映してか、サウンドは少しだけ骨太でロッキッシュになったものの、爽やかなハーモニー、瑞々しいメロディーは不変。それどころか、ますますエヴァーグリーンな輝きを増しているようにさえ思える。同作は批評家からも軒並み高評価を受け、短くないブランクだったにもかかわらず、〈やはり英国ポップにニック・ヘイワードあり〉と強く印象付けた。

2017年作『Woodland Echoes』収録曲“Baby Blue Sky”
 

今回の来日は、もちろん『Woodland Echoes』での返り咲きを受けてのもの。最近のセットリストをチェックしてみると、新作からの楽曲は言うまでもなく、ヘアカット100の人気曲に加えて、ソロのディスコグラフィーからも万遍なく披露されているようだ。名曲のつるべ打ちが予想されるサマー・ナイトに、ポップ・フリークは全員集合!

ヘアカット100の楽曲“Fantastic Day”を演奏している2014年のライヴ映像

 


LIVE INFORMATION
ニック・ヘイワード

2018年8月13日(月)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 17:30/開演 18:30
2ndステージ 開場 20:30/開演 21:30
サービスエリア 9,500円/カジュアルエリア 8,500円
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2018年8月15日(水)、16日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場 17:30/開演 19:00
2ndステージ 開場 20:45/開演 21:30
サービスエリア 9,500円/カジュアルエリア 8,500円
★詳細はこちら

■メンバー
ニック・ヘイワード(ヴォーカル/ギター)
アンソニー・クラーク(キーボード)
オリバー・テイラー(ギター)
ロブ・ディグウィード(サックス)
フィリップ・テイラー(ベース)
アンドリュー・トレーシー(ドラムス)