終わらぬ旅を続け、時代を変えるアーティスト

デビューから半世紀以上、2018年現在も衰えぬ創作意欲と精力的なライヴで終わらぬ旅を続け、大きな影響力と存在感を持つ音楽家がいる。その名はボブ・ディラン。並び立つ者なき〈音楽界最重要アーティスト〉は、その音楽と言葉で時代を変革してきた。

米公民権運動の賛歌とされた“風に吹かれて”やフォークからロックへの転換期に発表した“ライク・ア・ローリング・ストーン”などの楽曲で60年代を象徴する存在に。最新オリジナル作『トリプリケート』まで38のアルバムと600超の自作曲で音楽界を牽引し、アルバムの売上は世界で1億2450万枚を超える。ノーベル文学賞をミュージシャンとして初受賞したことも記憶に新しく、彼の作品に触れるなら今しかないと言えるだろう。

BOB DYLAN 『ライヴ:1962-1966~追憶のレア・パフォーマンス』 ソニー(2018)

 

60年代のレアなライヴ音源をたっぷり収録した来日記念盤!

ノーベル文学賞受賞後の初来日、そして日本のロック・フェスへの初出演を記念し、日本独自企画のライヴ盤が登場! アコースティックからエレクトリックへと変遷し、賛否を呼んだ時期である60年代に行ったNYやロンドンでのライヴのレアな音源を、2枚組計30曲でたっぷり収録。

 

ボブ・ディランのロックなキャリアをたどる

【60’s】
ボブ・ディランを名乗る若きフォーク・シンガーがデビューしたのは62年。翌年、公民権運動を象徴する“風に吹かれて”を含む『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』が高く評価される。その後のエレクトリック化は物議を醸したが、傑作『追憶のハイウェイ61』『ブロンド・オン・ブロンド』でアーティストとしての評価は揺るぎないものに。

【70’s】
66年のバイク事故による隠遁中はザ・バンドとクリエイティヴな時間を過ごしていたディラン。70年代の傑作『血の轍』に収録の“ブルーにこんがらがって”は新たな代表曲に。アメリカ建国200周年に合わせた〈ローリング・サンダー・レヴュー〉敢行後、79年のゴスペル作『スロー・トレイン・カミング』ではキリスト教色を強める。

【80’s】
前作から続く『セイヴド』『ショット・オブ・ラブ』といわゆる〈ゴスペル三部作〉を発表。そこから脱却したのが83年作『インフィデル』。85年には“ウィ・アー・ザ・ワールド”に参加。U2・ボノの紹介でダニエル・ラノワが制作した89年作『オー・マーシー』はディランが80年代に残した傑作と称賛された。

【90’s】
88年からいわゆる〈ネヴァー・エンディング・ツアー〉を開始。ジョージ・ハリスンらが参加したデビュー30周年記念コンサート(92年)、〈MTVアンプラグド〉への出演(94年)などで話題を振り撒く。7年ぶりとなるオリジナル作『タイム・アウト・オブ・マインド』(97年)はグラミー賞を受賞するなど絶大な評価を受けた。

【00’s】
これまで以上の活躍を見せるのが近年のディラン。自伝のベストセラー化や幅広い世代からの再評価などもあるが、周囲の状況以上にライヴ活動と作品の発表が現役音楽家であることを証明する。2006年の『モダン・タイムズ』で〈時代の歌手〉として復活、2016年にはノーベル文学賞受賞、2017年には3枚組の『トリプリケート』を発表した。

 

時代を彩った名曲を様々なベストで楽しもう!

オリジナル作が38作もあれば、ビギナーはどれから聴いたらいいか悩ましいのが正直なところだろう。そんな時はやっぱりベスト盤がオススメ! オールタイム・ベストからツアーに合わせた企画盤まで内容は様々だが、“風に吹かれて”“ライク・ア・ローリング・ストーン”など時代を彩ってきた名曲群を、付属の解説と共にじっくり楽しみたい。

 

聴き逃し厳禁のディラン最重要盤10選!

数多あるディランのアルバムのなかでも最重要盤がこちら。名曲“風に吹かれて”を収録した『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』、フォークとロックとの両面を聴かせる『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』、“ライク・ア・ローリング・ストーン”収録の『追憶のハイウェイ61』、黄金期の『ブロンド・オン・ブロンド』、70年代を代表する『血の轍』や『欲望』など、どれも聴き逃せない名盤ばかりだ。

 

※タワーレコードでボブ・ディラン来日記念旧譜キャンペーンを実施中! 詳細は→http://tower.jp/article/campaign/2018/07/18/01