美しい15年の日々を経て、いまのLeadの到達点を軽やかに刻んだ文字通りのマイルストーン。原点回帰しながらも新しい3人がそこに込めたものとは?

 昨年8月のシングル“Beautiful Day”から15周年イヤーに突入したLeadが、節目のシメとなるニュー・アルバム『MILESTONE』を完成させた。本作に採り入れられたサウンド・エッセンスは、ファンク/ブギー/フューチャー・ベース/トロピカル・ハウス/オルタナティヴR&Bと実に多彩。シンガロングしたくなる爽やかなポップ・ロック、ハートウォーミングなJ-Popバラード、さらには三味線という純ニッポンの音まで飛び出す。

Lead MILESTONE ポニーキャニオン(2018)

 「ジャンルに囚われず、いろんなことにトライしながらLeadの色を見せていこうと。今回はいろんな側面でLeadの新しい部分を出したかったんです」(谷内伸也)。

 「これからのLeadに対してワクワクしてもらえるようなアルバムになったらいいな、という思いで作ってました。15年を経たこのタイミングでやることに意味がある曲もあるし、原点回帰をしながら新しいことをやってる感覚がありましたね」(古屋敬多)。

 リード曲“Love or Love?”は、往年の歌謡曲を彷彿させる派手な曲調を隠れ蓑に、Leadのガツガツとした攻めの牙がギラリと光る曲。歌詞では煽情的に女性に迫る様を描き、MVには拘束具も登場。首を絞めるような動きも出てくるダンスの振付は、〈ドSな男〉が裏テーマにあったという。

 「“Love or Love?”は、これまでLeadがひた隠しにしていた部分が出たと思います。僕の中で裏テーマにしていたのは映画の『SAW』やヴァンパイア。猟奇的な世界観とか、〈普通に見えていた人が実は違ったんだ〉っていうギャップを表現したかったんです」(鍵本輝)。

 「キケンな感じ、アブナイ感じを表情や小道具で表現して、観ている人をドキッとさせたくて。〈やっちゃってるね、Lead〉みたいな攻めた姿勢を見せたかったんです」(谷内)。

 そうして新しい牙を見せつつ、自分たちの武器であるダンスの刃もキラリと光る本作。Leadの原点にあるのはヒップホップだが、“R.O.O.T.S”では、彼らがもっとも得意とするブレイクダンスにフォーカス。ブレイクビーツの躍動感を丸ごと詰め込んだ鬼ファンキーなナンバーに仕上がっている。

 「今回、自分たちの原点回帰となる曲を作りたかったんです。そのときにブレイクビーツの要素は欠かせないだろうと。これまでもブレイクビーツを〈味付け〉として採り入れた曲はあったけど、その〈味〉を全面に出した曲をやろうって」(鍵本)。

 「全編ブレイクビーツの曲なんで、ブレイクダンスのバトルの曲で使ってもらいたいくらい。僕たちも10代の頃はこういう曲を聴いて、みんなでバトルするっていうことをやってきたし、ブレイクダンサーは絶対アガる曲だと思います」(古屋)。

 同曲の制作を主導した谷内はこう続ける。

 「曲を書いていたとき、自分のデビュー当時を思い出していたんです。そこから15年、いろんなものが変わってきたけど、自分たちは変わらずにこうして活動してこられたことが感慨深かったし、自分のルーツというか、根っこが張れていれば、時代に流されずブレずに活動できるんだなって。これからもそうありたいと思いながら作ってました」(谷内)。

 メンバー全員が作詞/作曲に取り組んでいるLeadだが、今回の鍵本は共作も含め、過去最高となるアルバム半数の作詞を担当。なかでも〈あいつのどこがいいの?〉という歌い出しで始まる、心変わりした女性への愛憎を歌った“Tell Me Why”は、「めざしていた洋楽の歌詞のようなストレートさや情熱さが表現できたということで達成感もあったし、作詞面で自信になった曲」だという。

 「今回は、3人それぞれの得意な分野が楽曲の世界観に反映されていて、個性が曲に出てると思います。新しいエンジニアさんとの出会いもあって、これまでのLeadにはないミックスの仕方をしたり、サウンド面もメチャメチャこだわって作ったんです」(鍵本)。

 キャリアを重ねてきたいま、何をやるべきか。どこに向かうべきか。彼らは誇りを持ってこれまでの足跡を振り返り、今後の自分たちに期待して、みずからのシグネチャーをしっかりマイルストーンに刻みつけた。きっとこの道標がLeadを明るい未来へとリードしてくれるに違いない。

Leadの近作。