COLUMN

ドリアン・コンセプト『The Nature Of Imitation』 サマソニ出演を控えるブレインフィーダーの雄が新作に込めたヴァイブスとは?

ドリアン・コンセプト『The Nature Of Imitation』 サマソニ出演を控えるブレインフィーダーの雄が新作に込めたヴァイブスとは?

満を持してブレインフィーダー入り! 超絶技巧の鬼が模倣の本質を表現した圧巻のサード・アルバム!

 今夏の〈SONICMANIA〉で〈Brainfeeder Stage〉への出演が告知されていたドリアン・コンセプトが、その来日を控えたタイミングでブレインフィーダーとの契約を発表し、ニュー・アルバム『The Nature Of Imitation』をお披露目することとなった。もともとオーストリアのウィーン出身で、キンドレッド・スピリッツからの初作『When Planets Explode』(2009年)で脚光を浴びた彼。その後は鍵盤奏者としてフライング・ロータスのツアー・メンバーを務めたほか、『Cosmogramma』(2010年)やサンダーキャットのアルバムにも参加していたのですでにファミリー的な見え方はしていたものだが、〈室内楽〉を謳った2作目『Joined Ends』(2014年)はニンジャ・チューンでの録音であった。今回の『The Nature Of Imitation』はそれ以来4年ぶりの新作。近年はテイラー・マクファーリン“Postpartum”のリミックスも手掛けていたが基本的には多作な人ではないため、今回はまさに待望の一枚と言えるだろう。

DORIAN CONCEPT The Nature Of Imitation Brainfeeder/BEAT(2018)

 前作のリリース・ツアーを終えた後の彼はその流れで主にトリオでのライヴを活動の主軸にしていたという。そうするなかで次に作りたいもののイメージが具体的になってきたそうだ。

 「前のレコードのツアーが一段落してからはトリオでショウをやっていて、一昨年までその形でショウを続けていって……友達同士でこじんまりと、凄く楽しい時間だったよ。忙しかったけど、やっているうちに次のレコードでやりたいことが見えてきた部分もあってね。もっと自由でライヴな感覚の、バンドで演奏するからこその即興の醍醐味とかを反映したアルバムを作りたいと思うようになったんだ。今回の新作にはそのトリオでの経験が大きく影響している。ただ、再現したかったのはバンドでライヴをやる時の感覚であって、生楽器でバンドそのものの音を録るのが目的ではなかった。自分のルーツであるエレクトロニック・ミュージックとプロダクションを踏まえた作品であって、バンドがライヴ演奏しているだけのレコードにはしたくなかったんだ」。

 即興性に富んだ高い演奏能力と緻密なプロダクションはそのままに、ジャズ~フュージョン~IDMにまで至るインスピレーション豊かなビートを完成。自身のヴォーカルも初めて素材にしているのもポイントだろう。結果的には仕上がった作品を気に入られて今回のブレインフィーダー入りが実現したようだ。

 「彼らとは長い付き合いだし、2016年には2か月ぐらいLAでレコーディングもしたけど、僕にとってアルバム制作でいちばん重要なのは自分のヴィジョンに忠実に作ることなんで。そのヴィジョンにブレインフィーダーというレーベルがぴったりハマったのは嬉しい偶然だった。フライング・ロータスに音を送って——それは、当然ながら彼の感想を聞きたかったからなんだけど、情報交換というか、知り合いが何をやっているかアーティスト同士でけっこう気にしてるから、彼にも報告を兼ねて送った感じだったんだ。そしたら彼がすごく気に入ってくれて話が進展していった。偶然だったけど、幸運だったよね。そういえば、トリオでショウをやりながらよく思い出していたのは『Cosmogramma』が出た時のフライング・ロータスとのショウだった。僕とリチャード・スペイヴンもいたトリオ。僕のトリオはあそこで彼がやっていたことを追いかけていたようなところがある。彼のやることはけっこう予想がつかなくて、それに反応しながらその時々で起こっていることに対応していく、あの感じ。瞬間瞬間に応じて自分で考えながら演奏することの自由を最初に感じたのが彼のトリオでの経験だったんで……うん、遡れば今回のアルバムはそこに辿り着くのかもしれない。ブレインフィーダーはインプロ精神という点ではジャズだけど、ジャズに止まらずどんどん逸脱もしていく音楽を特徴としているから、関連性は確かにあるね」。

ドリアン・コンセプトの作品を紹介。

関連アーティスト