アナログ録音からデジタル初期、90年代始めまでの収録のものから選りすぐりの10タイトル!

 クラシックでは早くからUHQCDでの復刻に取り組んでいる日本コロムビアより、DENON、スプラフォン、旧オイロディスクの3つのレーベルの定評ある名盤、計10タイトルが第4期分として8/22にリリースされる。これまでこのシリーズで60タイトルがUHQCDで再発されてきたため、従来のCDとの音質比較をおこなった方も多いのではないだろうか。もちろん編成や録音年代、元のマスターの状況により必ずしも全てのアイテムで同一傾向という訳ではないが、その音質差はこれまで以上に感じられたはずだ。

 CDが登場して以降暫くしてから、物理的な制作過程における音質改善のための様々な方策がエクストラで講じられてきた。反射膜やディスクの素材のみならず、信号面の精度向上などプレス工場主体の改善策のひとつは、極力ディスクの読み取り精度を飛躍的に向上させることで音質をより改善しよう、という試みである。製品の製造においても、今や日本のプレス工場における製作公差の精度も世界最高レベルではないだろうか。CD登場時と比較すると、ここ30年以上CDの盤自体も進歩を重ねてきており、それがCDの音質向上に繋がっている。

 プレス会社が競って技術向上をおこなっているなか、メモリーテック株式会社が開発した新製法の微細ピット転写技術と、反射膜に特殊合金を採用する新しい製法の高音質CDがUHQCDである。これまでもいつくかのレーベルが採用してきたため既に語られたことも多いと思われるが、今一度簡単に確認をしておきたい。というのも認知がまだまだであると販売側も感じている訳であり、比較試聴することでUHQCDのアドバンテージの高さをぜひ体感してもらいたいからに他ならないからである。UHQCDはHQCDよりさらに反射率が高くなり、ディスクのピット情報の読取精度が飛躍的に向上することにより、まさにマスターをプレス工場に納品した時に極めて近い音が家庭で楽しめる。聴いたことがある方にはおわかりいただけると思うが、ガラスCDの音に近づいている、と言ってもいい。これは実際に比較試聴した体験であり、全ての盤が一様に同じであるとは言い切れないが、製品としてのCDが正常進化している、と認識できるのがUHQCDの凄いところではないだろうか。

 今回リリースの10作はアナログ録音からデジタル初期、そして90年代始めまでの収録のもので、一世を風靡したインバルのマーラー7番、マタチッチ&チュコ・フィルの1980年録音の名演ブルックナー9番、既に発売済の1番に続くザンデルリンク&SKDのブラームス2番など、定番のオケものでは楽器の実在感と共に音の色彩感の差も感じられる。音圧が高くなったからではない、音の存在感の高さから来る本来の音楽性に没入できるのは嬉しい。室内楽においても楽器の音色が豊かに感じられ、空間との対比もより判別できるようになった。ハイレゾ音源で元々収録されていない音源に関しては、特にUHQCDは従来のCDと比較して音源としての優位性が高く認められるので、名演が多く残っているデジタル初期から中期にかけての音源が復刻されていくのを、今後も大いに期待したい。

 


〔UHQCD〕DENONクラシック・ベスト 第4期発売 全10タイトル