〈今のジャズ〉を〈徹底したインタヴューによる現場取材主義〉〈ミュージシャン、プロデューサー・サイドの視点でのディスク紹介〉で追い続けて来た柳樂氏。シリーズは5冊目を数え、〈ニュー・チャプター系〉の作品、ミュージシャンも増殖した。欧州からは独自の音色、コンセプトで発信が続けられ、百花繚乱のジャズ界。インタヴューで引き出される当事者たちの話は、音楽の形成に関してかつて展開された推論的ジャズ評論とは異なり、〈○○や××の音楽に刺激を受けて立ち上げたレーベルの話〉など実証主義的でリアリティに富んでいる。ここにはジャズを勉強したくなるのではなく、聴きたくなる文字が溢れている。