INTERVIEW

東儀秀樹『ヒチリキ・シネマ』 キャリア初、待望のシネマ・アルバムをリリース

©Universal Classics & Jazz, Ayako Yamamoto

キャリア初、待望のシネマ・アルバムをリリース

 日本古来の管楽器である篳篥(ひちりき)の可能性を大きく広げ、ジャンルの垣根を越えてシーンに新風を吹き込んできた先駆者。最新アルバムは20年を超えるキャリアで意外にも“初”の映画音楽集となった。

 「小学生の頃から映画が好きで、当時テレビで放送される過去の作品も片っ端から観て、将来は映画評論家になりたいって友達に話していたくらい。名画は星の数ほどあるので、今回は自分のひらめきを信じて、人々の記憶に残る名曲を思いつくままに集めてみました」

東儀秀樹 ヒチリキ・シネマ ユニバーサル(2018)

 荘厳な《2001年宇宙の旅》で幕を開け、続く《ミッション:インポッシブル》では笙や龍笛、三味線を用いた和の雰囲気が絶品。《ゴッドファーザー》愛のテーマでは70年代ロック風のギター・ソローをフィーチャーするなど、曲毎にテイストは様々だが、オリジナルが持つテンポやリズムなどは見事に踏襲。ステージで共演の多い名チェリストの溝口肇をゲストに迎えた《She》や《スマイル》等以外ではどの楽曲も、ピアノからベース、ドラムに至るまで、数多の楽器を自身で演奏してレコーディングしている点も聴きどころだ。

 「奇をてらわず、定番に近い素直なカヴァーを目指しつつ、楽器にはこだわった。今回も低い旋律には復刻楽器である大篳篥を使用。他にも上妻宏光くんから半永久的に借りている三味線や、以前ネットで購入したティン・ホイッスル(《マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン》で使用)らが大活躍。凝り性なので何でも自分でやってみないと気が済まなくて(笑)」

 《コーリング・ユー》や《オン・マイ・オウン》ではまるでヴォーカリストのようにエモーショナルに歌い上げながらも、篳篥にしか出せない、何とも雅でどこか懐かしい味わいに満ちているのが印象的。

 「譜面通りではなく、雅楽で身に付けた行間を読むような感覚で自然と吹いてしまう。そこからあの独特の“揺らぎ”が生まれて、同じ旋律でも例えばサックスで演奏するのとは違う、篳篥ならではの個性に繋がるのだと思う。そういう部分を大切にしたいですね」

 ちなみに、この夏10年振りに続編が公開されるミュージカル映画『マンマ・ミーア!』でお馴染み《ダンシング・クイーン》だけが、アコースティック・ギターとドラムでリズムを刻み、篳篥がうねるようにメロディを奏でる異例のアレンジなのには理由が……

 「英国ハードロックとか大好きな人間なので、実は昔からアバが苦手……自分で選んだ楽曲でない分、面白がって大胆にやってみたら、結構楽しかった(笑)」

 現在、ヴァイオリンの古澤巌、アコーディオンのcobaとのユニット〈TFC55〉でも全国ツアー中。そちらのヴァージョンで聴く映画音楽もまた楽しみだ。

 


LIVE INFORMATION

東儀秀樹×古澤巌×coba TFC全国ツアー2018
○9/8(土)大阪・NHK大阪ホール
○9/19(水)大分・豊後高田市中央公民館
○9/20(木)大分・杵築市文化体育館
○9/22(土)埼玉・大宮ソニックシティホール
○9/28(金)愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール
○9/30(日)神奈川・相模女子大学グリーンホール
○10/14(日)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
○10/27(土)熊本・市民会館シアーズホーム 夢ホール
○11/28(水)29(木)東京国際フォーラム ホールC ほか

www.togihideki.net/

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