COLUMN

〈ケルティック・クリスマス2018〉選りすぐりの3グループが贈る、冬のケルト音楽フェスティバル

〈ケルティック・クリスマス2018〉選りすぐりの3グループが贈る、冬のケルト音楽フェスティバル

冬のケルト音楽フェス Celtic Christmas 2018

 年末恒例のお楽しみ「ケルティック・クリスマス」が今年も行われる。アイルランドをはじめ、ケルト音楽の伝統を引き継ぐ国、地域のグループ、アーティストが来日し、各地を回り、東京で全員参加のフェスティヴァル形式のコンサートが開催される。

 主役を勤めるのは、アイリッシュ・ミュージックの代表格として誰もが認めるバンドで、日本でもおなじみのアルタンだ。彼らは北西部のドニゴールというアイルランド本来の言語ゲール語が話され、フィドル(ヴァイオリン)演奏が盛んという伝統文化が色濃く残る地域の出身。地元の豊かな伝統に強くこだわりつつも、米国ブルーグラス勢からオーケストラまでとの共演など、間口の広い活動で、伝統音楽の枠を超えた人気を獲得してきた。

 アルタンの看板はバンドの創立者であり、歌手でフィドル奏者のマレード・ニ・ウィニーのピュアな美しさを持つ歌声と躍動感溢れるフィドル演奏である。17年の最優秀伝統音楽家賞に輝くなど、マレードは押しも押されぬアイルランドの音楽界を代表する顔のひとり。彼女を中心とするバンドの演奏は30年を超える活動を経て、今や円熟の極みだ。

 ただし、待望のニュー・アルバム『ザ・ギャップ・オブ・ドリームズ』を携え、3年ぶりとなる今回の来日は、大きな変化を経験した新たなアルタンに出会う機会ともなる。91年以来の長年のメンバーで、ツイン・フィドルの片翼だったキーラン・トゥーリッシュが脱退したのだ。その理由は、人気バンドゆえの忙しさから離れ、3人の子供ともっと時間を過ごすためという。そして、アルタンは「その裂け目を持ったまま、バンドであり続け、素敵な音楽を作り続けるという挑戦をすると決めたの。勇敢になれると示したかった」と、後任を迎えず、5人で活動を続けている。ギタリスト2人はツアー先によって交替で参加なので、舞台上は4人となる。それはフルートとアコーディオンの違いはあるが、結成時と同編成でもある。音がひとつ減った分だけ「もっと創造的自由を与えてくれる空間がある」と、原点に戻ったような4人での演奏をとても楽しんでいるとマレードは語っている。

 それでも、ツイン・フィドルのサウンドを惜しむファンはいるだろうが、今回の「ケルクリ」の出演者には、クリス・スタウトをはじめ、優れたフィドル奏者が他に3人もいるので、当然複数のフィドルをフィーチャーした迫力あるセッションもあるはずだ。

 スコットランドから、5年ぶりの来日となるカトリオーナ・マッケイ&クリス・スタウトはクラサッハと呼ばれるスコティッシュ・ハープとフィドルのデュオだ。2人は島民全員がフィドルを弾くとも言われるシェトランド諸島の伝統音楽グループ、フィドラーズ・ビッドのメンバーでもあるが、どちらも王立スコットランド音楽演劇学院でクラシックから現代音楽の作曲までを学び、異種格闘技的なプロジェクトにも積極的に挑む音楽家でもあり、最新作『ベア・ナックル』の表題通り、素手の打ち合いのような丁々発止の演奏は、ジャズにも近いスリリングなものだ。

 今年の「ケルクリ」には「アイランド・ストーリーズ」という副題が付けられており、「島の音楽」というテーマもある。3組目はカナダのプリンス・エドワード島出身の注目の若手バンドで初来日となるザ・イースト・ポインターズだ。カナダの東海岸にはスコットランド移民がもたらしたフィドル演奏を中心とした伝統が息づくケルト文化圏があり、「赤毛のアン」の島もその一部なのだ。

 イースト・ポインターズはフィドル、バンジョー、ギターのトリオで、14年にデビューしたばかりだが、昨年の2作目『ホワット・ウィ・リーヴ・ビハイド』でカナダのグラミー賞にあたるジュノ賞を獲得している。伝統音楽に則ったインスト・チューンの興奮させられる演奏と、シンガー・ソングライター的な持ち味でじっくり聞かせる現代的な歌ものを両立させているところが魅力のバンドだ。

 そして、カナダからもうひとり、フィドル奏者でもあるダンサーで、歌手としても自分のバンドやベル・スターで活躍するステファニー・カドマンが二度目の来日を果たす。

 


LIVE INFORMATION

ケルティック・クリスマス
12/8(土)16:30開場/17:15開演
会場:すみだトリフォニーホール 大ホール
出演:アルタン/カトリオーナ・マッケイ&クリス・スタウト/ザ・イースト・ポインターズ/ステファニー・カドマン