オルガンとドラムで真っ向勝負! KIYO*SENのネクスト・ステージ

 カシオペア3rdのオルガニスト大髙清美と女子大生の凄腕ドラマー川口千里から成るユニット、KIYO*SEN。フュージョン・シーンではお馴染みである彼女たちの4作目は、メタル・テイストを取り入れた冒険作だ。テクニカル・フュージョンでオルガンがメインというと、それだけで異色な存在。カシオペア3rdは、まさにその組み合わせの妙を武器のひとつにしている。対して大高がサウンド面をリードし、千里が派手なハイテク・ドラミングで演奏を盛り上げるKIYO*SENは、自ずとプログレッシヴ・ロック寄りのハードコア・フュージョン指向になる。

 そもそもオルガンといえば、60~70年代ロックやソウル・ジャズ方面で重用された楽器。ところが80年代以降は、自由自在に音色を変えられるシンセサイザーに、その座を奪われてしまっていた。それが少しずつ復権してきたのは、エレキ・ピアノと同様、ヴィンテージ楽器の深みのある音が注目されるようになってきた、ここ10年くらいである。

 そのオルガンとドラムをメイン楽器に据えたKIYO*SENは、デビュー当時からエマーソン・レイク&パーマー(以下ELP)からの影響を指摘されていた。このELPはクラシックとハード・ロックを融合させたプログレ・スタイルを持ち、キース・エマーソンが弾く卓越したオルガン・プレイで独自の音を創っていた。これまでKIYO*SENは、そこにジャズ・フュージョンらしい多彩なエッセンスを注入。変拍子もパワフルに叩き抜く千里のドラムで、今様のハード・フュージョン・スタイルに昇華させてきた。でもその路線はこれまでの3作で、ほぼ完成の域に到達。今度はそこから何処へ踏み出していくのか。

KIYO*SEN organizer エレックレコード/エアグルーヴレーベル(2018)

 そのネクスト・ステップとして打ち出した答えが、本作といえる。安易にシフト・チェンジしてお茶を濁すのではなく、むしろギアを上げての真っ向勝負。ハード・ロックを下敷きにしたプログレから、ヘヴィ・メタル・ベースの楽曲を取り入れる形へ進化し、ただひたすらにKIYO*SENらしさを追求した。ゲスト・ギタリストに、Kelly SIMONZとHIZAKI(Versailles/Jupiter)を迎えたのも、その一環。アルバム・タイトルである『organizer』にも、彼女たちの決意、覚悟のほどが滲んでいる。

 とはいえ、即興性の高いインタープレイや時折顔をのぞかせるキャッチーなメロディはそのまま。だから従来ファンを置き去りにすることなく、新生KIYO*SENの自信をアピールする作品になった。予定調和ではないリアル・フュージョンの面白さがココにある。

 


LIVE INFORMATION

KIYO*SEN 4th Album「organizer」リリースTour(2ndステージ)
○9/21(金)神戸 チキンジョージ
○9/22(土)岡山 モグラ
○9/23(日)& 24(月・祝)※2days 大阪 ミスターケリーズ
○9/25(火)名古屋 ボトムライン

www.kiyo-sen.com/