カーティス・メイフィールドが在籍したことでも知られる、シカゴの伝説的なR&Bコーラス・グループ、インプレッションズ。先日、元メンバーのリロイ・ハトソンが来日公演を実施したことも話題になったが、この度ついに本隊がBillboard Liveに降り立つ。

実は、インプレッションズとして日本でライヴを行ったことはなく、今回が初来日。9月11日(火)、13日(木)にBillboard Live TOKYOで、9月15日(土)にBillboard Live OSAKAでパフォーマンスを行う。初期メンバーのサム・グッデン、フレッド・キャッシュを中心に、ホーン隊も従えてのライヴとなる予定だ。華やかなソウル・レヴューになること間違いなしの本公演を前に、ここではインプレッションズの歩みをさくっとおさらいしよう。

67年のパフォーマンス映像
 

ルースターズというグループを前身に持つインプレッションズは、1958年のジェリー・バトラー&カーティス・メイフィールドを加入を機に〈ジェリー・バトラー&ザ・インプレッションズ〉と改名した。その名のとおり、バトラーをフロントマンに据え、“For Your Precious Love”(1958年)、“Come Back My Love”(1959年)などR&Bチャートにランクインするヒット曲も出していたが、バトラーは60年に脱退。以降はメイフィールドがメイン・ヴォーカルになる。なお、来日メンバーのサム・グッデンはルースターズ時からのメンバーで、フレッド・キャッシュはバトラー脱退時に加入。いずれにせよ、この2人は超初期メンというわけだ。

60年代の前半には、メイフィールド、グッデン、キャッシュ以外のメンバーが抜け、インプレッションズはトリオ編成に。当時は、黒人が人種差別の解消を訴えた〈アフリカ系アメリカ人公民権運動〉全盛。キング牧師らが呼びかけての〈ワシントン大行進〉(63年)が行われるなど、時代は変化の気運に溢れていた。そんななか、64年にインプレッションズがリリースした楽曲が“Keep On Pushing”。〈高い理想へと向かって ただただ押し続けるんだ ハレルヤ!〉と歌った同曲は、ムーヴメントのアンセムになった。以降も、“People Get Ready”(65年)やChoice Of Colors(69年)といった、理想を掲げて戦う人々を鼓舞するメッセージ性の高いナンバーを連発する。

この頃になると、メイフィールドはレーベルの〈カートム〉を設立し、若手ミュージシャンの育成に励むなど、インプレッションズ以外の活動にも力を入れていた。そうした動きも影響してか、70年にメイフィールドは脱退。ソロで手掛けた映画「スーパーフライ」(72年)のサントラが大ヒットし、さらなるスターダムへと歩みはじめる。なお、メイフィールドの後釜として加入したのが、今年の5月、これまた奇跡の初来日公演が開催されたリロイ・ハトソン。しかしながら、以前ほど商業的な成功を収めることができず、ハトソンとグループの方向性にも齟齬が生じたため、73年に早くも脱退してしまう。

その後は、メンバー・チェンジを繰り返しながら活動し、91年には〈ロックンロール・ホール・オブ・フェイム〉、2003年には〈ヴォーカル・グループ・ホール・オブ・フェイム〉に輝くなど、文字通り音楽史に刻印される存在となったインプレッションズ。2013年にはディープ・ファンクの名門レーベル、ダップトーンから久しぶりのシングル“Rhythm!”を発表するなど、フレッシュな展開もあり、新旧のファンを喜ばせた。

今回の来日公演時、サム・グッデンは84歳、フレッド・キャッシュは77歳。年齢をふまえると、最初で最後の日本パフォーマンスとなる可能性も高い。生けるソウルの伝説を生で体験できるまたとないチャンス。この来日を逃す手はない。

 

参考テキスト:
インプレッションズ“最初で最後の来日”記念特集 ~キヨシローやボブ・マーリーも繋ぐ稀有なコーラス・グループの物語

 


LIVE INFORMATION
インプレッションズ

2018年9月11日(火)、13日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場 17:30/開演 19:00
2ndステージ 開場 20:45/開演 21:30
サービスエリア 10,000円/カジュアルエリア 9,000円
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2018年9月15日(土)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 15:30/開演 16:30
2ndステージ 開場 18:30/開演 19:30
サービスエリア 10,800円/カジュアルエリア 9,800円
★詳細はこちら

■メンバー
フレッド・キャッシュ(ヴォーカル)
サム・グッデン(ヴォーカル)
ジャーメイン・ピュリフォリー(ヴォーカル)
ジョー・ヘレラ(トランペット)
レジー・ペース(トロンボーン)
マット・リップトー(サックス)
ビル・デンプシー(キーボード)
ザック・カトラー(ギター)
エリオット・セッパ(ベース)
マーティー・ブシャール(ドラムス)