INTERVIEW

伊万里有『My Name Is...』 注目の俳優が念願のアーティスト・デビューで見せたかった〈本当の自分〉の姿とは?

伊万里有『My Name Is...』 注目の俳優が念願のアーティスト・デビューで見せたかった〈本当の自分〉の姿とは?

 人気の「ミュージカル『刀剣乱舞』」出演で注目株となった俳優が、少年期からの夢だったというCDデビューを果たした。Bガールだった姉とDJをやっていた兄の影響で中学生の頃からどっぷりヒップホップ漬けだったという伊万里有。DMXに50セント、ナズにノトーリアスBIG。同じ九州出身の餓鬼レンジャーのライヴに参じ、DOBERMAN INCらも初期からチェック。一方でShing02とNujabesの“Luv(sic)”シリーズも愛聴していたというかなりのヘッズだ。

 ヒップホップの入り口はダンス。中学時代から見よう見まねで始めて、高1のときにクラスメイトと二人組のチームを結成。兄が作ったミックステープをラジカセで鳴らしながら街角のビルの鏡の前で自主練に励む毎日だったと言う。

 「僕がこういう音楽を好きだということを知らない方はファンの方でも多いと思うし、いい意味でビックリさせたかったんです。今回は仕事というより、良い意味で趣味に近いからこそ、本当の自分を見せたかったし、自分の好きなモノを作ろうというのがいちばんにありました」。

伊万里有 My Name Is... plusGROUND(2018)

 そう語るデビュー作品『My Name Is...』には、トラップやトロピカル・ハウス、ダンスホール・レゲエやフューチャー・ベースなどのエッセンスを詰め込んだ、軽やかでチルな現行ヒップホップ/R&Bのサウンドが並ぶ。楽曲を手掛けたのは、三浦大知を筆頭に多くのヒット曲を生み出してきたUTA、SALUやBTSとの仕事で知られるSUNNY BOYらだ。

 「イマドキの雰囲気がある、聴いてて心地良いものを作りたかったんです。好きだったのはゴリゴリ系ですけど、自分でやるかと言ったら似合わないだろうし(笑)」。

 「ミュージカル『刀剣乱舞』」で共演したspiをフィーチャーしているリード曲“Am I Your Boyfriend”は、恋に落ちたときの「いちばんハラハラ、ソワソワ、ワクワクする瞬間の心の声を歌った」というラヴソング。ガツガツ系じゃなく控えめにアプローチする男性が描かれていて、伊万里の淡麗なルックスともマッチしている。

 「僕ももともと口下手で控えめな人間ですから(笑)。今回はどの曲も、自分がやりたい曲調や自分の人間性をプロデューサーの皆さんに伝えて作ってもらっていて、SUNNY BOYさんがそこを汲み取ってくれたんだと思います」。

 歌声にオートチューンをかけることで「自分じゃない自分」を表現したという“I'm Talkin' to U”は、「自分が嫌いな自分をちゃんと受け入れて生きていこう」という思いが綴られた自問自答ソング。ゆえに、タイトルにも伊万里有を英語表記(U Imari)した際の〈U〉が使われている。

 「みんなあると思うんですよね、嫌いな自分って。でも嫌なことを経験して人は強くなっていくと思うから。弱い自分も自分だとわかって、ダメなところまで愛せるような自分でいたいんです」。

 カリビアン調の“My Place”のテーマは、自分の居場所。伊万里はこの曲で心の拠り所と言える地元・佐賀への思いを歌う。

 「僕の根源はやっぱり地元にあるんです。アーティスト活動を始めるにあたっても、地元にいた頃に浴びたカルチャーや当時の思いがいちばんの根っこにあるから」。

 この曲の歌詞に出てくる〈GABAI BERAI ITOSHIKACHAN(がばいべらい愛しかっちゃん)〉は佐賀の方言で、〈めっちゃ超好きなんだよね〉という意味合い。加えて、この言葉にはもうひとつの意味が隠されている。

 「〈刀剣乱舞〉で新撰組の近藤勇の刀(長曽祢虎徹)を演じたんですが、土方歳三が近藤勇を〈かっちゃん〉というあだ名で呼ぶんです。つまり、僕の主はかっちゃんなので、〈愛しいかっちゃん〉っていう意味も掛けてる。ここはレコーディングのときに僕が思いついて、その場で入れたんです」。

 今後のアーティスト活動については「ライヴもやれるようになりたい」と語り、「絶対やめたくないし、止まりたくない」と強い意欲を見せる。

 「役者と並行してアーティスト活動をやっていくことが理想ですね。音楽をやっていくためには役者業もがんばらないといけないし、お互いが相乗効果になって上がっていけたら。それに役者でこういうタイプの音楽を好きでやってる人はいないと思うから、そこもちゃんとアピールしていきたいと思ってます」。

 


伊万里有
88年1月9日生まれ、佐賀出身の俳優。少年時代から姉や兄の影響でR&B/ヒップホップに親しみ、ダンスに没頭する。高校卒業後に上京し、モデル活動を経て2010年に俳優デビュー。2016年より「ミュージカル『刀剣乱舞』~幕末天狼傳~」で長曽祢虎徹を演じて脚光を浴び、2017年には7本の話題作に出演する。今年に入ってからも「ミュージカル『刀剣乱舞』~結びの響、始まりの音~」や「BRAVE10~燭~」など精力的に舞台出演を展開する一方、7月に配信シングル“Am I Your Boyfriend”を発表してアーティスト・デビューを飾る。劇団鹿殺しの歌劇「俺の骨をあげる」出演も話題を集めるなか、このたびファーストEP『My Name Is...』(plusGROUND)をリリースしたばかり。

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