INTERVIEW

fox capture plan『CAPTURISM』 ライヴハウスからお茶の間までを横断するトリオが、真骨頂を響かせた新作を語る!

fox capture plan『CAPTURISM』 ライヴハウスからお茶の間までを横断するトリオが、真骨頂を響かせた新作を語る!

TVドラマの劇伴も大好評――ライヴハウスからお茶の間まで、キラリ輝くセンスを幅広いリスナーに届けてきた3人が、新作で聴かせる真骨頂の極みとは?

ジャンルは何ですか?

 fox capture planが、今年4枚目のアルバムをリリースする。およそ8か月で4枚!というありえないスピード感だが、種明かしをすれば、そのうち3作はTVドラマのサウンドトラックだ。大きな話題を呼んだフジテレビ系「コンフィデンスマンJP」をはじめ、物語に最適な旋律を添える手腕はもはや職人技。昨年人気を博したTBS系「カルテット」も含め、劇伴制作はバンドのもうひとつの軸として非常に重要なものだと、岸本亮(ピアノ)と井上司(ドラムス)は言う(ベースのカワイヒデヒロは欠席)。

 「あっちで冒険して、こっちに活かすみたいなこともありますね。『BUTTERFLY』(2015年)にストリングスを入れたことも、その直前に『ヤメゴク』の劇伴でストリングスを使ったからだし」(井上)。

 「いまやってる『健康で文化的な最低限度の生活』もそうですけど、登場人物の心理を描写しながら、自分たちなりに音楽的に表現するとどうなるか?という挑戦でもあるし、名前を知ってもらうチャンスにもなる。フェスに行くような音楽好きの人もいれば、言い方は悪いですけどちょっとミーハーな、TVで聴いた音楽を〈いいね〉と思う人もいるし、どっちにも届く可能性があるので。でもカワイくんは、劇伴作家仲間から〈営業妨害だ〉って言われたらしい(笑)」(岸本)。

fox capture plan CAPTURISM Playwright(2018)

 そんな多忙な日々から生まれた7枚目のオリジナル・アルバム『CAPTURISM』は、群馬は高崎のスタジオで3日間の合宿を敢行し、贅沢な環境で録音できたという10曲入り。バンドの原点を思わせる、クールに疾走感するクラブ・ジャズ・テイスト、エレクトロ・サウンド、生音と打ち込みの融合など、バンドの〈これまで〉がこの一枚に凝縮された観がある。

 「いろいろ挑戦してきて、自分たちの音楽がようやくひとつの完成形に至ったのかなという気がします。よく言われるんですけど、僕らのフォロワー的な人も出てきて、ひとつのシーンを牽引する存在でもあるのかなと思うので、『CAPTURISM』は自分たちがやっている音楽を表す言葉なのかなと思います。〈ジャンルは何ですか?〉と訊かれたら、〈キャプチャリズム、ですかね〉みたいな感じ」(岸本)。

 アルバムは、「fox capture planの神髄っぽい曲ができた」という岸本の作曲による高速ダンス・チューン“Capturism”で幕を開け、ルーツ・ジャズの香り高い“Greatest Blue”、「コンフィデンスマンJP」のテーマ曲“We Are Confidence Man”のセルフ・カヴァーと、序盤からキャッチーな曲を畳み掛けて一気に突っ走る。

 「“Capturism”のイントロは高速すぎて、変拍子じゃないのに変拍子に聴こえる(笑)。そこがかなりインパクト強いので、これを1曲目にしてつかみにいきました」(井上)。

 「“Greatest Blue”は5~6月のツアー用に書いた曲で、自分の中では4人のピアニストをドッキングさせてます。コードはハービー・ハンコック、メロディーはバド・パウエル、途中でヒップホップっぽくなるところはロバート・グラスパー、それとEST(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)。自分が影響を受けたジャズ・ピアニストの要素を入れるというコンセプトです。“We Are Confidence Man”は、原曲はゴージャスでエンタテインメント度が高いですけど、つかっちゃん(井上)のアイデアでファンク/R&B寄りのアレンジに変えました。大衆的なインパクトはサントラのヴァージョンだと思うけど、好みで言うとこっちが好き」(岸本)。

 

カラフルさに磨きのかかった音使い

 恒例の洋楽カヴァーは、ニーヨの2007年の大ヒット“Because Of You”。メランコリックな美メロのR&Bチューンを、特徴的なピアノのフレーズだけを残してソフト&スウィートにアレンジし、センスの良さをキラリと光らせている。

 「原曲は4つ打ちで、それをもう少しシティー・ポップ寄りのリズムに変えてます」(井上)。

 「カレー屋に入ったらたまたまこの曲がかかってて、イイ曲だなと思ってやってみた(笑)。原曲が素晴らしくて、シンプルだけどメロディーがすごく良くて、それだけで成立してる。僕らのアレンジも肩の力を抜いた感じで、踊れるから、いまこれをやるのが求められてる感じなのかな?と思いますね」(岸本)。

 サウンド面では、近年導入しはじめたシンセやドラム・エフェクトなどカラフルな音使いに磨きをかけ、生音と打ち込みの融合はさらに進化した。とりわけラストの“Paradigm Shift”は、壮麗なストリングス、ループするシンセ、劇的なリズム・チェンジなど、アルバムを象徴する素晴らしい一曲だ。

 「ドラムは誰を参考にしたの? クリス・デイヴとか?」(岸本)。

 「クリス・デイヴが誰かに〈ドラムを教えて〉と言われたときに、〈俺に教わる最低条件は、BPM300の16ビートを一切ブレずにシングル・ストロークでできること〉と言ったらしい(笑)。それは無理ですけど、音作りは参考にしてます。“Paradigm Shift”はエンジニアの貢献も大きくて、たぶんこの曲が録音中にいちばんアレンジしたと思う。打ち込みっぽい音のセットと生音っぽいセットをひとつにしたり、倍テンとハーフのテイクを重ねて、ドラム2台でやってるように聴かせたり」(井上)。

 「壮大な感じになりましたね。録ってるときからアルバムの最後の曲になりそうだなと思ってました」(岸本)。

 

絶対カッコイイものができるという自信

 ほかにも、井上作曲の“Liberation”、カワイによる“Kick Up”など、バンド初期からのアイデンティティーである疾走感、ロック感、リフ感の強いキャッチーな楽曲もしっかり収録。長く親しんできたリスナーにも確かな満足を与えてくれる。

 「“Liberation”はたぶん『BUTTERFLY』の頃に作っていた曲で、イメージはジャズ・バンドが本気でロックやってるみたいな感じ、ですね」(井上)。

 「リフで押していく曲はライヴで使いやすいし、初期の作風に近いですね。“Kick Up”もfox capture planを集約したような曲で、ファンとしては絶対欲しいタイプだろうと思って入れました」(岸本)。

 バンドは9月からリリース・ツアーを開始し、新たなサントラ制作の話も進行中。新しい時代のバンドのロールモデル、fox capture planの音楽=キャプチャリズムの世界は、あらゆるボーダーを越えてさらに広がり続けてゆくはずだ。

 「ライヴの動員は昔より多いらしいし、売れてるバンドも無数にいる。ネット限定CMの依頼もあったりして、音楽の仕事も多様化しているだけに、何でもやらないと。〈これをやるとイメージ的にどうなんだろう?〉とか、そこまで考えないです」(岸本)。

 「むしろ最初の頃のほうが、そういうふうに考えてきた気がする。いまはもっと自由になった」(井上)。

 「絶対カッコイイものができるだろうという自信がある。心配は一切ないですね」(岸本)。

fox capture planが2018年にリリースした作品を紹介。

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