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ESSENTIALS
ピーボ・ブライソンの定盤

MOSES DILLARD,THE TEX-TOWN DISPLAY Now! Tex-Town/ヴィヴィド(1969)

まだ10代だったピーボの貴重な記録。サザン・ソウルの名匠でギタリストでもある同郷のモーゼス・ディラード率いるバンドがカートム移籍前に出したこのアルバムで、ピーボは2曲を歌っていた。アレサ・フランクリン版で知られる“Cry Like A Baby”での力強いテナー、バラードの“Bring Your Dreams To Me”でのエモーショナルな歌声は青くも深みに溢れている。 *林

 

PEABO BRYSON Ballads Capitol(2013)

キャピトル移籍後の1~2作目『Reaching For The Sky』(77年)と『Crosswinds』(78年)および、キャピトル復帰作『All My Love』(89年)は現在入手困難なので、初期の代表的なヒット“Feel The Fire”や“I'm So Into You”、初めてR&Bチャートを制した“Show & Tell”などはこの編集盤で。歌声が成熟へ向かう過程と、完成されて洗練を極めていく姿という両方の魅力が味わえる。 *出嶌

 

NATALIE COLE Icon: Natalie Cole Capitol(2013)

ピーボがロバータ・フラックのパートナーに抜擢された理由は、ナタリー・コールとのデュエット作品『We're The Best Of Friends』(79年)の成功による部分も大きいかもしれない。ピーボの裏方としての手腕も示した同作から、このナタリーのベストには“What You Won't Do For Love”を収録。ボビー・コールドウェルの原曲をリッチに響かせたアレンジャーとしての有能ぶりたるや。 *出嶌

 

PEABO BRYSON Paradise Capitol(1980)

デュエットに力を入れていた時期のソロ作。ジョニー・ペイトとの共同プロデュースで、冒頭から安定のテナー・ヴォイスを聴かせる。とりわけ“I Love The Way You Love”や“I Believe In You”といったラヴ・バラードにおけるスケールの大きい歌い込みは流石。ドゥービー・ブラザーズの“Minute By Minute”を歌うAORシンガー然とした佇まいにも違和感はない。 *林

 

ROBERTA FLACK,PEABO BRYSON Live & More Atlantic(1980)

ダニー・ハサウェイの急逝後、ロバータ・フラックのデュエット相手を務めたピーボ。ライヴ音源とスタジオ録音曲から成る本作での彼は、ロバータ&ダニーの名曲再演のほか、“Feel The Fire”や“Reaching For The Sky”といったソロ曲も披露。バラードの“Make The World Stand Still”など、ふたりの共作による新曲でもダニーに匹敵する歌唱で情熱的に迫る。   *林

 

PEABO BRYSON I Am Love Capitol(1981)

この時期の童顔ぶりを見ているとケンドリック・ラマーを思い出してしまうのはさておき、本作からは劇的な後半の盛り上がりがたまらないバラード“Let The Feeling Flow”がヒット。当然のようにスロウの占める割合は多いものの、ゴスペル仕立ての“Impossible”などその意匠は多彩だ。陽気なグルーヴに乗る“Love Is On The Rise”など数少ないアップ・ナンバーも印象的に響く。 *出嶌

 

PEABO BRYSON Don't Play With Fire Capitol/PTG(1982)

ピアノの前でポーズをとるジャケットが示すように、ソングライティング/プロデュースのほか、リズム&管弦アレンジや鍵盤演奏も自身で行い、マルチぶりを発揮した一枚。むろん歌の濃度はいつもと変わらず、“Give Me Your Love”のようなスロウをじっくりと歌い込む。ジョーンズ・ガールズのブレンダがバックで歌う滑らかなアップの表題曲も快演だ。 *林

 

PEABO BRYSON,ROBERTA FLACK Born To Love Capitol(1983)

ピーボがロバータを招く形になってのデュエット作第2弾。バート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガー、ボブ・クルー&ボブ・ゴーディオらポピュラー界の名匠たちが揃った豪勢な一枚で、マイケル・マッサー&ジェリー・ゴフィン作の“Tonight, I Celebrate My Love”はピーボの包容力に満ちた歌声を印象づける世界的なヒットに。80年代きってのデュエット盤だ。 *出嶌

 

PEABO BRYSON Quiet Storm Elektra(1986)

80年代中期のムード満開なタイトル通りのクワイエット・ストーム盤。盟友ドゥワイト・ワトキンスを共同プロデューサーに迎え、ロビー・ブキャナンとダイアン・ウォーレンが書いた“Somebody In Your Life”などのアップも挿みつつ、情熱的にして抑制の利いたヴォーカルを聴かせる。自身のペンによる傑作ミディアム“Catch 22”での快活な表情もたまらない。 *林

 

PEABO BRYSON Positive Elektra/Wouded Bird(1988)

アニタ・ベイカーの『Rapture』(86年)よろしくマイケルJ・パウエルやサー・ガントを制作/演奏に招いたアーバン・ソウル集。マンハッタンズ版に匹敵する“Hurt”やギャリー・グレンがペンを交えたアップ“Crazy Love”がとにかく素晴らしい。ビル・コスビー主演映画「Leonard Part 6」の挿入歌となったレジーナ・ベルとの“Without You”はディズニー映画曲の前ぶれか。 *林

 

ANGELA BOFILL Intuition Capitol(1988)

アンジェラ・ボフィル唯一のキャピトル盤となる本作に、同社と再契約したばかりのピーボがデュエット相手として参加。ノーマン・コナーズが手掛けたうちの一曲“For You And I”はピーボの歌が際立つアダルトなラヴ・バラードで、これもディズニー曲の前哨戦と言える仕上がりだ。淑やかに寄り添うアンジェラも好演。後に池田聡の日本語カヴァーも登場している。 *林

 

PEABO BRYSON Love & Rapture: The Best Of Peabo Bryson Columbia(2004)

初のR&B首位に輝いた『Can You Stop The Rain』(91年)とディズニー・ヒットも含む『Through The Fire』(94年)という、太く短いコロムビア時代の2窄から選曲したベスト盤。ウォルター・アファナシエフやデヴィッド・フォスターらに音作りを委ねて歌い手に徹した曲が多く、安定感は抜群。チャカ・カーンのカヴァー“Through The Fire”なども聴きモノだ。 *出嶌

 

FOURPLAY Elixir Warner Bros.(1995)

R&Bシーンの様相が切り替わった90年代以降、フュージョン~スムース・ジャズ方面にも活躍の場を広げていったピーボ。ケニーGとのコラボあたりの甘さも印象的だが、注目は今作でパティ・オースティンと共に披露した“The Closer I Get To You”だろう。かつてロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが歌った名曲を、久々にダニーに成り代わって渋く歌い込んでいる。 *出嶌