INTERVIEW

JAGUAR 『ジャガーさんがベスト!』 ある時は千葉のヒーロー、ある時は日本ロック・シーンの父? いま再ブレイク中のジャガーさんを直撃!

JAGUAR 『ジャガーさんがベスト!』 ある時は千葉のヒーロー、ある時は日本ロック・シーンの父? いま再ブレイク中のジャガーさんを直撃!

みなさんはジャガーさんをご存知だろうか? 正式なアーティスト名はJAGUAR、しかしファンは親しみを込めてジャガーさんと呼ぶ。出身は木星近くにあると言われるジャガー星だが、宇宙人ではなく、あくまで〈物体〉。数十年前に地球の千葉県市川市に飛来して以来、千葉を拠点に事業を経営しながらアーティスト活動も行っている。ビジネスで手に入れた資金をもとにチバテレビなどの放送枠を買い取り、自ら番組を制作してはアーティスト活動をPR。最近では日本テレビ系列のトーク番組「月曜から夜ふかし」や、サザンオールスターズのMVに出演するなど再ブレイクし、知名度は全国区へと広がっている。そんなジャガーさんがアーティスト活動の集大成として、このたび10月24日(水)にベスト・アルバム『ジャガーさんがベスト!』をリリース。そこでご本人に話を伺うべく、千葉県某所に停泊してある宇宙船ジャガー号を直撃した。

JAGUAR ジャガーさんがベスト! Victor Entertainment(2018)

愛車〈JAGUARウェイ!!〉に乗り宇宙船ジャガー号の内部を案内してくれるジャガーさん
 

ジャガーさん、居酒屋には行くんですね

――初めまして……。ジャガーさんは宇宙人……というか、生命体ですらない宇宙の物体ということで、宇宙の方にも物体にもインタヴューするのは初めてなので緊張しております。今日はよろしくお願いいたします。

「はーいジャガーです。よろしくね」

――ジャガーさんはここ地球では80年代からミュージシャンとしてご活躍されていて、30年以上も音楽生活を送っていらっしゃいますよね。今回その集大成としてベスト・アルバムをリリースされるということで、まずはこのベスト盤が出るまでの経緯を教えていただけますか?

「そうね。あるイヴェントの打ち上げで行った居酒屋で、お酒を呑みながらベスト盤の話をしたら、そこにいたみうらじゅんさんがすごい乗り気になってくれまして、〈僕にやらせてください!〉って言ってくれたんですよ。それがきっかけです」

※ご存知〈マイブーム〉の生みの親にしてジャガーさんの親友。ジャガーさんによれば、みうらは彼と同じジャガー星の出身らしく、今作には二人の関係を歌った“JUNとJAGUARは同級生!”も収録されている。

――みうらさんはジャガーさんの活動を何でもご存知なんですよね。

「もちろんもちろん。みうらさんはジャガーの作品を全部持ってますから」

――収録曲は85年から2016年の楽曲まで、制作された年代がバラバラですが、みうらさんの選曲や曲順についてはどう思われますか?

「〈ここにこれ入れてきたか〉っていうのはありますね。“TIGER”がちょっと意外でした。〈なんでこれを入れたんだろう?〉って(笑)。あとは〈おおォ~なるほど〉って感じでしたね」

――みうらさんなりの意外性も入れつつ、やはり押さえるべきポイントは外してない感じですかね。

「そうですねェ~」

――今回、ベスト・アルバムをリリースするということに関してはどう思われますか?

「こんなの初めてだからねェ、いいと思いますよ。自分でももうすでに発表してる作品ばかりだから、そんなに大変じゃないし(笑)。新曲を作る時とか、新作を出すっていう時はすごく張りつめた極限状態になるんですけど、そうじゃないからね」

――ジャガーさんはいまTVやイヴェントにもたくさん出られていて、ものすごく注目が集まってると思うんですが、初めてジャガーさんの音楽を聴く方にもこういったベスト盤があるのはいいことですよね。

「いいと思いますよ。イヴェントなんかで若い方に会うことも増えましたし」

――いちばん古いものでは85年のファースト・アルバム『JAGUAR FIRST』の収録曲(“エメラルドの瞳”“船橋・市川の娘”)がありますよね。ご自身でいま聴いてみて、恥ずかしさとか照れ臭さとかはあったりするんでしょうか?

「いやァ~全然ないよ(笑)」

――さまざまな年代の曲が入り混じってても違和感はないですよね。

「やっぱり当時と今だと曲の作り方も録音の仕方も全然違うからね、別物だと考えてます。昔は生のドラムスで、ベースもギターも生の楽器で。今はキーボードと打ち込みがメインで生楽器はあんまりやらないからね」

――昔はジャガーさんが全部演奏されてたんですか?

「いや、昔はバックバンドがいたんです」

――そうなんですか! ジャガーさんはヴォーカルだけを担当されてたんですか?

「あの頃はギターと、ハーモニカもやってましたね。ベースとシンセ、ドラムスは専門の方がいました。ドラマーは(松浦)金時さんという方で、今でも活躍されてますよ」

――最近はどのような方法で楽曲作りをされてるんですか?

「打ち込みが多いですね。生楽器はあまり使わなくなりました」

――どういったソフトを使われてるんですか?

「えっと……ソフトは秘密なんです(笑)。いろいろ使ってますよ」

――でも普通のPCで作るんですね。

「そうです。ここ(ジャガー号)じゃないところにあるPCとマルチモニターで作ってます」

どんな質問にも答えてくれるジャガーさんだが、楽曲制作ソフトまでは教えてもらえず……。
 

創作のテーマ、なし!

――今作のブックレットには、みうらさんの解説文があって、〈ジャガーさんが地球に降り立ったのは、音楽で愛と平和を訴えるプランだった〉という旨が書かれています。30年以上音楽活動をされてきたなかで、楽曲に〈愛と平和〉みたいな一貫したテーマはあるんですか?

「テーマ……あんまりないですねェ~(笑)。曲を作るときどきによってテーマは違いますけど。例えば今作にも入っている“お母さん!”って曲の時は、徹底的に悲しく、涙がジャンジャン出るような曲を作ろうと思ってました」

――そういう曲を作るのは、ジャガーさん自身に悲しいことがあったからでしょうか?

「そうですねェ~。悲しい曲を録音する時は、涙を流しながら録りますね」

――それにしても、音楽活動に一貫したテーマはないとは。

「〈ノリのいい曲を作ろう〉とかはありますけど、一貫したテーマはないです」

――歌詞を聴いてると一見キツい歌詞もありますけど、実は愛に溢れてる歌詞だったりして。

「うん、思いやりとか優しさとかね」

――そういうのがテーマだったりはしないんですか?

「ないない(笑)。腹立ってる時は〈バカ~!〉っていう曲を作っちゃいますし(笑)。その時の気分だね」

楽曲のテーマはない、強いて言えば〈ジャガー〉自体がテーマ。
 

いまのブームはジャーマン・メタル

――ジャガーさんは普段どういう音楽を聴かれるのですか?

「今はラムシュタインとか、ジャーマン・メタルにハマってますね。ジャーマンじゃなくてもナイトウィッシュ(フィンランドのメタル・バンド)とかウィズイン・テンプテーション(オランダのシンフォニック・メタル・バンド)だとか。向こうではかなり有名ですけど、日本ではあまり知られてないかもしれないですね」

ラムシュタインの楽曲“Du Hast”のMV
 

――メタルがお好きなんですね。そういう音楽はどうやって知るんですか?

「だいたいYouTubeが多いね。あとはApple Musicとか」

――ジャガーさんの曲は、以前はロック調のものもありましたけど、最近はポップやフォークも多く取り入れるようになりましたよね。そういうのは最新の流行音楽を聴いてるからですか?

「いやァ~、世間一般の方が聴くような流行の音楽はほとんど聴かないよ」

――そうでしたか。では〈いまはジャーマン・メタルだ!〉みたいなのはどこから来るんですか?

「なんだろうね、自分の身体に合うんだよね。だから今度出す新曲“華麗なるJAGUARカレー”は、かなりメタル調になってます」

――メタルの曲も打ち込みなんですか?

「一部自分の楽器も入れてますね。全部ひとりでやってます」

――歌もメタルっぽくなるんですか?

「ヴォーカルは……メタル調でもないか(笑)」

――サウンド面で、いまハマっているジャーマン・メタルっぽさを取り入れてると。

「だいぶ取り入れたつもりです。けど、結局はジャガーの曲になっちゃうから、普通のヘヴィメタの曲とはかなり違うよね」

――1曲作るのにどれくらいかかりますか?

「エンドレスなんですよ。作り始めて気に入っちゃえば1、2週間で出来ちゃう曲もあるけど、気に入らないと3か月とか、ずっとかかっちゃう」

――いまも制作途中の曲はたくさんありますか?

「あります。“華麗なるJAGUARカレー”がいちばん新しく出来た曲で、いまはその次の曲を作ってますけど、ちょっと詰まっちゃって2か月くらいそれをイジってるんだよね」

――それはどういう曲なんですか?

「それは……。最初はやっぱりメタル調で作ってたんだけど、作ってるうちに変わってきちゃって(笑)。あと1、2週間で出来るんじゃないかな

※その後、ご本人のTwitterによれば新曲は完成した模様

――作るのに何か月もかかると、当初込めようとしていた感情が薄れたりはしないですか?

「まああるよね。でも最初のコンセプトがしっかりあれば大丈夫。“お母さん!”とか、今作には入ってないですけど“Lonely Planet Boy”とかは〈悲しい曲を作るぞ〉ってコンセプトがあったし」

 

ジャガーさんの千葉愛はいかほど?

――今作で言うと“ファイト! ファイト! ちば!”や“船橋・市川の娘”など、千葉の曲も何曲か作られていますよね。“ファイト! ファイト! ちば!”はチバテレビさんからのオファーがあって作られたということですが。

 

「そうです。それがきっかけで千葉の曲は何曲も作りましたね。“GO! GO! ちば”とか“スマイル・ウィズ・ユゥ”とか“房総半島”とか」

――やっぱり千葉愛は強いんですか?

「いや、実は全然ないんですよ(笑)」

――あれ? これだけ千葉の曲を作ってるからてっきり……。

「勝手にそう言われてるだけでね、違いますよ(笑)。住んでるのがたまたま千葉県なだけで。……あ、住んでるっていうか、宇宙船ジャガー号が停泊しているのがね。いつ飛び立つかわからないし(笑)」

――でもずっと千葉にはいらっしゃるんですよね(笑)。

「いますね(笑)。だから市川市関係のお仕事も多いですね。市川市のふるさと納税の特典がジャガーのグッズになったりとか

――そうらしいですね。でも千葉にそんなに愛はないと(笑)。

「全然ない(笑)」

――ジャガーさんの歌で〈愛と平和〉を感じたり、住んでる地域への愛も感じたりしたので、今回そういうテーマでインタヴューをまとめようと思ってましたよ(笑)。全然違うじゃないですか。

「そのまま書いちゃってくださいよ(笑)。このベスト盤には未収録ですけど、以前“ファイト! いちかわ!”って曲を数年前に作ったんですよ。それはケーブルTVのJ:COMさんから〈番組に出てくれないか〉っていうオファーがあったんですけど、〈(宇宙船ジャガー号から)けっこう近いから嫌だ〉って言って断って(笑)。代わりに曲を作ってVTR出演にしたんです」

――テレビ局が近所なのが嫌で出来た曲ですか(笑)。

「そうです(笑)」

 

ジャガーさんが日本のロック・シーンを育てた?

――〈千葉のヒーロー〉なんて言われてるのに意外な話が飛び出しましたね。“ファイト! いちかわ!”と言えば先日、桑田(佳祐)さんがラジオでかけてくださったそうで。

「ああそうなんだ! よかったァ~!」

――桑田さんと言えば、ジャガーさんは今年サザンオールスターズ“壮年JUMP”のPVにも出演されて、あれも大変話題になりましたよね。

「あれはよかったですねェ~」

ジャガーさんも登場する、サザンオールスターズ “壮年JUMP”のMV

 

――サザンのほうからオファーがあったんですか?

「〈出てくれないかなあ〉って言われて〈いいですよォ~〉って即答でね」

――サザンはお好きですか?

「好きですよ、昔から大尊敬してますからね。桑田さんや原(由子)さんに会えるなんてワクワクしましたよ。本当は握手してもらいたかったけど、なんだか忙しそうで……(笑)」

――ジャガーさんには他にも、いわゆる〈ジャガー伝説〉がたくさんあるじゃないですか。X JAPANのhideさんやTAIJIさん、GLAYのメンバーもジャガーさんのお世話になっていたとか、爆風スランプのサポートもされたことがあるとか。〈ジャガーが日本のロック・シーンを育てた〉みたいに思うところはありますか?

「育てたってほどじゃないけどね(笑)。かつてライヴ・ハウスを2件経営してまして、バンド関係の人はそこにいっぱい集まってきたんです。その関係でhideとかはウチで働いてましたけど」

――さらっとおっしゃいましたけど、すごい事ですよね……。ライヴ・ハウスの経営というのは後進を育成したいとか、音楽の素晴らしさを広めたいとか、そういう気持ちがあったんですか?

「いやァ、ないよね。単なる商売ですよ(笑)」

――感動話を聞き出そうとしても、そうじゃない答えばっかり(笑)。

「(笑)」

「音楽の素晴らしさを広めたい? いやァ、単なる商売ですよ(笑)」
 

――ジャガーさんは音楽活動と並行して、いろんなビジネスもされてきてるんですよね。

「はいはい。昔はかなり手広くやってました」

――ビジネスで儲かったお金で、例えばTV番組の枠を買い、ジャガーさん自身を世に広めたりとかされてきたわけで。

「まあビジネスがそう儲かってたわけでもないんだけどね。バンドをやってたから商売もできたっていうだけで」

――でもそういう意味ではいま、当初の目的はかなり達成されて、全国にジャガーさんの名前が広まってきてるんじゃないですか?

「そうですね。日本全国から仕事のオファーがあります」

――もともと名前を広めるために番組をやってらして、いま広まってきて、今後はどうなりたいとお考えですか?

「今後も今までとまったく同じです。新しい曲を作って、発表して、みなさんに聴いていただくというね」

――本業……というかビジネスのほうもやりつつ(笑)、音楽活動もするというのはこれからも変わりなく?

「そうですそうです」

――音楽的に売れたいとか、世界に飛び出したいとかそういう野望はありますか?

「そうねェ……。外国のヤバいロック・フェスには出たいね。KenKenと仲が良くて、彼は先日もアメリカに行ってましたけど、話を聞いたらニューオーリンズの一番大きいライヴ・ハウスでライヴをやってきたんですって。ああいうのいいねェ。ああいうことやりたい。ヨーロッパのロック・フェスでもやりたい」

――やっぱりドイツですか?

「ドイツいいねェ~!」

――それと、ジャガーさんと言えばボブ・ディランのカヴァーもされていますが、ジャーマン・メタル以外にもいろんな音楽を聴かれるんですか?

「全世界の音楽を聴くからね。とにかくありとあらゆる音楽を吸収して、良いところを取り入れるってことを年中考えてます。YouTubeをただ観るだけじゃなくて、ステージングとか演奏とか、いつも研究してますよ。〈ロック・フェスに出るならこういうことやろう〉とか」

――そうなると、ジャガーさんのライヴ活動も観たくなってきますね。

「イヴェントに出て何曲かやったりはしてますよ。本当のバンド演奏じゃないですけど(笑)」

――先ほども新曲を制作中とのことでしたが、次回作の構想はありますか?

「あります。曲がもう何曲か完成すればアルバムを出しますよ。いま一生懸命作ってるところで、いつになるかわからないけど毎日作ってます」

――“華麗なるJAGUARカレー”以外の曲も気になります。

「“ニューヨークのJAGUAR”って曲が入ります。CMの仕事でNYに行って、その時に作ったんです」

――ドイツにハマっているし、新曲はNY。最近はテーマがワールドワイドですよね。

「NYも良かったですよォ~。感激しました」

――NYは飛行機で行かれたんですか?

「もちろん。……あああ、違います! ジャガー号で(笑)。……ジャガー号で12時間かかりました、結構ゆっくり飛んでいきますからね(笑)」

――(笑)。楽しみが膨らみますね。ニュー・アルバムをリリースする際にはまたお話を聞かせてください。

「どうぞどうぞ」

――ありがとうございました。

 
 
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