自身のドキュメンタリー映画「黙ってピアノを弾いてくれ」の日本公開を間近に控える異能音楽家が、ソロ・ピアノ3部作の最終章をリリース。3分前後の小品を16曲収録した構成は前2作とほぼ同様で、巧緻なタッチで綴られる瀟洒な仕上がり。しかし、ときおり響く不協和音や非和声音が、聴く者の奥底に潜む不安定な感情と静かに共鳴しているかのようだ。ただ美しいだけの癒しの音楽では決してない。