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【連載:IN THE SHADOW OF SOUL】[第110回]変わらないチェンジ

ESSENTIALS
チェンジと周辺の名盤たち

PETER JACQUES BAND Fire Night Dance Prelude(1979)

チェンジの直前にフレッド・ペトラスがマウロ・マラヴァシと興したイタロ・ディスコ・ユニットのひとつ。ベースもダヴィド・ロマーニで、サルソウルやミュンヘン・サウンドを視野に入れたようなパーカッシヴな高速ダンス・チューンがユニゾンの女性コーラスと共に連発される。ひたすら享楽的な軽薄さが清々しい。いま思えばチェンジの習作だ。 *林

 

CHANGE The Glow Of Love Warner Bros.(1980)

ジョセリン・ブラウンやアリソン・ウィリアムスらが歌うタイトなミッド・ダンサー“A Lover's Holiday”で幕を開けるファースト。いま聴くとジャネットを連想するダンサーの表題曲、同じリフでグルーヴを生んでいくシャッフル“Searching”の2曲でシルキー・ヴォイスを披露するのがルーサー・ヴァンドロスだ。NYサウンドの本格到来を告げた記念碑的な一枚。 *林

 

THE BROOKLYN.BRONX & QUEENS BAND THE BROOKLYN, BRONX & QUEENS BAND Capitol(1981)

チェンジの成功に勢いづいたペトラス&マラヴァシが送り出したバンドの初作。さらなるNYサウンドの追求は名前の通りで、デビュー・ヒット“On The Beat”を筆頭にグルーヴィーで粋なダンス曲が並ぶ。ウェットなスロウやレゲエの“I'll Cut You Loose”もあって、記名性の希薄さはありつつバランスの取れた佳作だ。 *出嶌

 

CHANGE Miracles Atlantic(1981)

ディーヴァ・グレイがリードで歌う“Paradise”と“Hold Tight”という2大ダンス・クラシック以外にも名曲が目白押しのセカンド・アルバム。ナイル・ロジャース風のギター・カッティングが飛び出す“Your Move”など、ディーヴァ嬢の起用も含めてシックからの影響が色濃い一枚でもある。ジェイムズ・ロビンソンが歌う表題曲は究極のアーバン・メロウ・ダンサー。 *林

 

CHANGE Sharing Your Love Atlantic(1982)

匿名プロジェクト的な存在から実在する7人組バンドへと打ち出しをシフトし、メンバーがジャケに登場した3作目。とはいえ音の傾向が変わるわけでもなく、シングル・カットされた“The Very Best In You”など小気味良いダンサーを中心にした作りは変わらず。マラヴァシやロマーニと共にリロイ・バージェスやジョニー・ケンプがペンを交え、元シックのノーマ・ジーン・ライトも参加。 *出嶌

 

ZINC Street Level Jive(1982)

カシーフ作のヘヴィー・ファンクで始まる本作もペトラス&マラヴァシの派生ユニット。レイ・チュウ(キーボード)やヨギ・ホートン(ドラムス)といったNY勢を招き、チェンジの同年作に参加したゴードン・グロディがリードで歌う唯一のアルバムは、ダンス要素を薄め、硬質でアグレッシヴな音を発する。その後のチェンジを予感させるテクノ・ファンクな一枚だ。 *林

 

HIGH FASHION Feelin' Lucky Capitol(1982)

ペトラス&マラヴァシのコンビがチェンジの作法を持ち込み、後にそれぞれソロで活躍するアリソン・ウィリアムズとメリッサ・モーガン、男性のエリック・マクリントンに歌わせたプロジェクトの初作。特にアリソンの凛とした女声と直線的なビートで躍動するエレガントなファンクの表題曲はロマーニの鍵盤プレイも光る名演だ。カシーフも制作に関与。 *林

 

THE RITCHIE FAMILY I'll Do My Best RCA(1982)

“The Best Disco In Town”(76年)のヒットで知られる女性トリオが仏人の黒幕ジャック・モラーリによって一新。そのRCA移籍第1弾作にてペトラスが単独で制作を担当している。アレンジはハイ・グロスの首謀者ジュリアーノ・サレルニ。フィリー・ソウルのエッセンスをまぶしたモダンで洗練されたアーバン・ブギーが華やかな女声によって歌われる快作だ。 *林

 

CHANGE This Is Your Time Atlantic(1983)

デボラ・クーパーとジェイムズ・ロビンソンが歌う〈実体化バンド〉としての2作目(通算4作目)。中ヒットした“This Is Your Time”や“Don't Wait Another Night”など、チェンジ流のグルーヴはキープしつつも音数を絞り、ミニマム&タイトな曲が中心に。リードでリック・ブレナン、バックではリサ・フィッシャーやエリック・マクリントンらも歌っている。 *林

 

HIGH FASHION Make Up Your Mind Capitol(1983)

前作発表後にソロを志したメリッサ・モーガンが脱退し、新メンバーのマーセラ・アレンを迎えて仕上げたセカンド・アルバム。チェンジやBB&Qバンドのメンバーたちが演奏や曲作りに参加しているのは前作同様で、表題曲には同時代に活躍したプリンスやリック・ジェイムズの影響を窺わせる部分もある。解散後のアリソン・ウィリアムズはデフ・ジャムで成功を収めることに。 *出嶌

 

CHANGE Change Of Heart Atlantic(1984)

マラヴァシがバンドから退き、ペトラスが総監督としてジャム&ルイスとティミー・アレンに制作を任せて〈チェンジ〉した一枚。特にTR-808などのドラムマシーンを用いたジャム&ルイスの手際が鮮やかで、デボラとリックがデュエットしたフォースMD's風のスロウ・バラード“Say You Love Me Again”と、“Paradise”の換骨脱退的な表題曲が出色の出来だ。 *林

 

NETWORK I Need You Rams Horn(1984)

ペトラス&マラヴァシはノータッチだが、チェンジにも関与したBB&Qバンドのケヴィン・ロビンソンが元エムトゥーメイ一派と組んだプロジェクト。オランダで500枚のみ発売された激レア盤で、アーバンかつヘヴィーなNYファンクが飛び出す。“Cover Girl”を歌うのは、これまたBB&Q~チェンジに関わっていたソロ・デビュー前のジョニー・ケンプだ。 *林

 

CHANGE Turn On Your Radio Atlantic(1985)

機械化に伴うファンク・バンド減員が相次いだ時代のあおりか、ついに5人組となって迎えたバンドの(一旦の)最終章。ペトラスがプロデューサーに復帰するも実質的な制作は引き続きティミー・アレンが行い、ジャム&ルイスとの仕事経験も活かして品のあるマシーン・サウンドに仕上げている。ロマーニもペンを交えた“Let's Go Together”など抑えめのクールな音使いが印象的だ。 *出嶌

 

THE B.B. & Q. BAND Genie Break(1985)

3作目『Six Million Times』(83年)を最後に消滅したバンドがチェンジ残党も交えた新編成で再起動した4作目。引き続きペトラス総指揮下ながらもケイ・ウィリアムズ(元ブレイクウォーター)主導の音作りは同時期のジャム&ルイスに通じる都会的なもので、後のソロ作が名高いカーティス・ヘアストンのヴォーカルも絶品。バンドとしては完全な別物ながら中身は申し分ない傑作だ。 *出嶌

 

CHANGE Change Your Mind Fonte(2010)

ダヴィド・ロマーニの制作で90年に録音したとされる2009年配信(2010年に音盤化)の未発表音源集 +α。最新作でリメイクされたバラード“Friends”を筆頭に、84~85年のチェンジを彷彿とさせる打ち込みの曲が並び、グラウンド・ビート調まで登場する。AOR界隈で人気の伊人マイク・フランシスも鍵盤と歌で参加。マーヴィン・ゲイ“I Want You”のカヴァーも。 *林

 

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