Mr.Childrenにとって19枚目となるオリジナル・アルバム『重力と呼吸』が遂に完成。昨年末より長期の制作期間に突入し、各曲をじっくりと練り上げてきた彼ら。配信限定“here comes my love”も含む全10曲から、今も成長を続けるMr.Childrenの姿が浮かび上がる。

Mr.Children 重力と呼吸 Toy's Factory(2018)

2015年6月に発表された前作『REFLECTION』は、バンドのセルフ・プロデュース曲を多数収録し、今一度Mr.Childrenというバンドの何たるかを見つめ直した作品だったといえる。オープニング・ナンバーである“未完”に象徴されていたように、そこでは日本の音楽界を代表するモンスター・バンドであるMr.Childrenが今も成長過程にあり、新たな音楽世界を開拓し続けていることが示されていた。

昨年にはデビュー25周年を記念した全国ドーム&スタジアム・ツアー〈Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25〉を敢行。37枚目のシングル『himawari』のリリースを経て、バンド市場最大規模となる70万人を動員したこのツアーを終えると、昨年末より長期の制作期間に突入。『REFLECTION』以降に書き溜めたデモ音源を4人でじっくり練り直す作業を続けていたという。

そうした作業の最初の成果として、今年1月には配信限定“here comes my love”(フジテレビ系ドラマ「隣の家族は青く見える」主題歌)をリリース。ストリングスをまといながらドラマティックに展開される同曲は、来るべき新作への期待を高めるには十分すぎるものだった。

そして、このたびついに全貌が明らかとなったのが、『REFLECTION』以来実に3年4か月ぶりとなる新作『重力と呼吸』だ。ここに“here comes my love”や“himawari”といった先行曲で形にされていた瑞々しい歌の世界が全10曲に渡って広がっているが、疾走感溢れる“海にて、心は裸になりたがる”や90’sハウス調のピアノに導かれる“addiction”、リズム隊のグルーヴも圧倒的な“day by day(愛犬クルの物語)”などでは、『REFLECTION』以降の新しいMr.Childrenの姿も垣間見せる。バンドの持つダイナミズムを余すことなく封じ込めた録音は、長期に渡る制作期間の賜物でもあるだろう。また、改めて実感させられるのは、桜井和寿が紡ぎ出す情感豊かな言葉と、彼の声が持つ特別な輝きだ。ここには相変わらず力強くて優しいMr.Childrenがいる。

本作リリース後からは13か所25公演のアリーナ・ツアー〈Mr.Children Tour 2018-19〉も決定。同ツアーでは初の海外単独公演となる台北アリーナ(台湾)も予定しているという。まさに現在進行形のMr.Childrenの姿にぜひ触れてほしい。