伊藤ゴローとの共演で日本でも人気の高いジャキス・モレレンバウム(vc)が4曲、憂愁溢れる音色が心を溶かすマルク・ベルトミュー(accor.)が3曲、ブラジリアン・ギターの御大トニーニョ・オルタが⑫に参加。ドのギター&唄が英・仏・葡の3か国語で歌い上げられる。いずれも説得力のある実力派の証明の作品ばかりで、中にはノラ・ジョーンズで大ヒットしたホレス・シルバーの《Peace》を始め哀愁漂う楽曲が網羅されており、ドの歌声に合った見事な選曲が聴く者を引き寄せる。お馴染みの⑩でのヘレン・メリルに匹敵するハスキーな味わい、モレレンバウムのチェロとドの対話が不思議な場面を醸し出す⑭など秀逸な世界だ。