シリーズ第二弾の目玉はジェフ・ベック!
ギターだからこそのヴァラエティの豊かさを、存分に楽しむ

 音楽を選んで聴こうとする時にジャンルはとても便利だ。ジャンルなんてレコード屋都合の仕切りに過ぎない、なんて言い方もしたりする一方で掘り下げていく際の道標として確かに存在してくれていた。そもそもジャンルって音楽のスタイルだったり、社会背景だったり、地域文化だったり、そこから更に細分化していったりするから、やっぱりそれはレコード屋だけのものではなく、言わずもがなリスナーの為のものでもあるのだ。もしそれを指標に自分がのめり込んできた音楽があるのならば、その中から名盤を選べと言われれば嬉々として何枚でも選べるはずだ。

 ここ10年程であらゆるレーベルの音源がシリーズで、かつ手に取りやすい価格で一気に再発される状況になったが、そのようにあらゆるジャンルを道標に色々と掘り下げてきた向きにはあれもこれもと手に取れ、嬉しい悲鳴も出るというもの。で、その出方もレーベルだったり年代だったり、そしてジャンルだったり……もうそろそろ出切ったと思いながらも次から次へと出てくるが、単純にシリーズに何が入ってどう並べられてというのを眺めるだけでも面白い。

 そんな中、そういえばその切り口はありそうでなかった、というものが昨年の4月に登場した。ソニーのギター・レジェンド・シリーズだ。サンタナに始まりレイ・ヴォーンやジョニー・ウィンターなどギター小僧大喜びな面々、ロバジョンやブラインド・ウィリー・ジョンソンなど文字通り伝説的なギタリスト、巨人マディ・ウォータースから生ける伝説的なバディ・ガイやタジ・マハール、ケブ・モまで新旧問わず、特性上ややブルーズ色強めながらそのヴァリエイションはやはり眺めて面白いものだったし、やはり何よりギターという一つの楽器でシリーズを組んでいることの面白さは際立っていた。

 そのギター・レジェンド・シリーズ、単発の企画と思いきや第二弾が出るというではないか。前シリーズは文字通りのレジェンド感をしっかり出せていたが果たして今回は…いや、まずはラインナップを眺めてみよう。

 前作に続きサンタナやレイ・ヴォーン、ジョニー・ウィンターが並ぶのは流石の安定感、バディ・ガイとタジ・マハールが今回も入っているのも嬉しいところ。しかしながら今回の看板は何といってもジェフ・ベックだ。説明不要のブロウ・バイ・ブロウ、寧ろ第一弾で登場していなかったのが不思議なくらいギター音楽を語るならば避けて通れないレジェンド、そして大名盤だ。もしや第二弾の為に取っておいたのかも…なんて邪推もしてしまったり。しかもUPPまでラインナップされていて今回はとにかくジェフ・ベック祭、これだけで全然第一弾に見劣りしない。その他ジョン・メイヤーも登場し所謂三大ギタリスト、元祖(クラプトンは第一弾のデラニー&ボニーで…)も現代版も半分以上揃った…とかなんとかラインナップだけでここまで楽しめてしまっている。

 そして、もう一つの目玉はボブ・ディラン、ここでは誰もが知る彼の代表作ではなく1974年のザ・バンドとの、そして1987年のグレイトフル・デッドとのツアー実況盤だ。ギター・レジェンド・シリーズ的にはディランを切り口にロビー・ロバートソン、そしてジェリー・ガルシアのギターを堪能してもらおうという目論見だろう。また、前シリーズで異色だったチャーリー・クリスチャン的存在なら今回はチェット・アトキンスか、代表作であるビートルズ集は混じりっ気なしのギター・サウンドを楽しむならもってこいだ。

 で、やっぱり思うのはギターという楽器の面白さ、楽器を切り口にこれだけのヴァラエティを持たせられるのはギターだからこそ。欲を言うならジャズやクラシックなんかもどんどんラインナップされれば、なんて早くも第三弾に期待してしまうが、まずはこの豊富なラインナップからあなたのお気に入りのギターサウンドを見つけて欲しい。

 


ギター・レジェンド・シリーズ 第2弾

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