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〈旅先の出会いは一期一会〉。ここから始まる奇跡のラブ・ストーリー

 旅先の出会いは一期一会。こうして出会っているこの時間は二度と巡っては来ないたった一度きりのもの。もうね、憧れます。夢物語のような憧れを抱きながら楽しむ3作。シリーズ化になりますと、一定のクオリティを保つことは相当難しいと思われます。比較対象があるだけに、観る人の目もどんどん厳しくなる。ですが、この「ビフォア…」シリーズは、まさに期待を裏切らない傑作が3つ。どれを観ても面白い、最高のトリロジーBOXとなりました。

リチャード・リンクレイター 『「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」「ビフォア・ミッドナイト」トリロジーBOX』 ワーナー・ブラザース・エンターテイメント(2014)

 18年前、ヨーロッパの長距離列車の中で出会ったアメリカ人学生ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人女学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)。意気投合し、ウィーンの街で〈夜明け〉まで語り合う。お互いに惹かれあいながらも、彼らは敢えて連絡先を交換せずに、再会の約束をして別れる。9年後の第2作では、作家になったジェシーは、あの一夜の事を描いた小説のプロモーションで訪れたパリで、セリーヌと再会し、ジェシーの飛行機の出発時間〈夕暮れ〉までの間、パリの街を歩きながら、現在のそれぞれの生活、9年間の出来事、忘れる事の無かったお互いの存在について時が経つのを忘れて喋る喋る。とにかく喋る。そしてまた9年後、40代となった彼らは、パートナーとなり双子の娘にも恵まれていた! 夏の休暇で訪れたギリシャの開放的な雰囲気が、その世代の不安、子供の事、現在の二人の関係について、2人の気持ちを解き放ち、愛も不満も爆発させる。〈真夜中〉の〈神秘の時間〉、彼らはどういう状況に陥るのか。

 気付いたのは、この2人はウソをつかない、ということ。逆に自分の気持ちを正直にさらけだすことで、ぶつかり合い、そして話して話して話して理解しあう。絶妙な距離感。そう、ファンは彼ら二人の会話を聞くのが大好き。時には笑い、時には胸キュンしながら。

ファンとしては、トリロジーとして完結して欲しくないのですが……。このBOXは第4作、第5作へ進むための過程……ですよね(希望)?