INTERVIEW

〈YELLOW LOUNGE TOKYO〉ドイツ・グラモフォン120周年イヴェント! 記念盤をリリースした水野蒼生が語る

©髙橋健治

水野蒼生インタヴュー
とりあえず同世代に外を歩きながら聴いてほしい

 1994年生まれのAoi Mizuno(水野蒼生)は、ザルツブルク留学中の指揮者。国内の音楽大学を半年で飛び出してヨーロッパへ渡り、デビュー演奏会をクラウドファンディングで実現。名曲を大音量で聴かせる「東京ピアノ爆団」はじめ、ユニークな発想と行動力がユニバーサルミュージックの目にとまり、史上初の「クラシカルDJ」が誕生した。ジュリーニやC・クライバー、アバドら、ドイツ・グラモフォン(DG)レーベルの既存音源に大胆なミックスを施し、7章で構成したファーストアルバム「MILLENNIALS-WE WILL CLASSIC YOU」は9月5日、同レーベル創立120周年記念盤として発売された。

Aoi Mizuno MILLENNIALS -WE WILL CLASSIC YOU- DG/ユニバーサル(2018)

 通して聴くと、ただのリミックス盤やコンピレーション盤とは次元を異にする「作品」の価値が鮮明に浮かび上がる。40以上の音源に基づく「NOT SO LONG TIME AGO」から「REACH OUT TO UNIVERSE」までの7作品それぞれ、あるいは全編を通じて確かなテキスト(物語)とコンテキスト(文脈)が存在、「指揮者Mizuno」の主張は揺るぎない。「色々なデモンストレーション音源をつくりながら、楽曲をただ繋ぐのではなく、自分の作品としての価値をどう高めるかの試行錯誤を繰り返しました。同一音源を繰り返す間に別の音源を《おかず》のように挿入すると案外うまくいくと気づいたのは今年の4月ころ。曲順や構成には太い筋を通し、ジャンルを問わないコンセプトアルバムに仕上げたつもりです。40曲すべてのスコア(総譜)を分析しながら、パズルのように組み合わせる過程は、指揮者そのものでした」

 室内で身動きせず、スピーカーに向き合うのでは勿体ない気がして、車を運転中に再生したら、イケた。「とりあえず、外を歩きながら聴いていただきたいですね。普通のクラシック音源はダイナミックレンジが大きくとってあり、外では案外、聴きにくい。ここではリミックスで音の幅を狭め、外で動きながら聴きやすい音楽に仕上げています。DJだからといってクラブミュージックで踊るのとは少し違う立ち位置に、クラシックDJの自分は存在しています」

 誰に先ず、聴いてほしいのだろう? 「自分と同世代で、クラシック音楽に興味はあるけど、どう入っていいかわからない、カルチャーに敏感で新しいイベントに関心がある…といった人々です。《このトラックの何分何秒の部分が気に入った》と思ったら、次はオリジナルの音源に接してほしい。橋渡しの役割を意識しました。自分がベートーヴェンの代弁者になったつもりで、ダイレクトなメッセージを発信していきます」 *池田卓夫(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗)

 


PROFILE
Aoi Mizuno(水野蒼生)

1994年生まれのミレニアル世代の指揮者であり、史上初のクラシカルDJ。O.E.T.(オーケストラ・アンサンブル・トウキョウ)代表。東京ピアノ爆弾主宰。現在、オーストリア国立モーツァルテウム大学のオーケストラ指揮、合唱指揮の両専攻に在籍。音楽の都ザルツブルクでカラヤンの後輩としてクラシック音楽の真髄を学ぶかたわら、東京で「クラシックの入り口の人間」として、形に囚われない新しいクラシックの愉しみ方を提案する活動をしている。

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