字面から連想されるフリーキーさはないので念のため。もともと術ノ穴のコンピで見い出され、〈ニートtokyo〉出演を通じて一気に注目を広げた旬の名前が、全国流通の初作を完成した。歌とラップの間を体温低めに漂う日常系の詩情と、切なげでナードなチル・トラップ、名前も含めたファンシーな存在感……そういった諸要素がアイコン探しの好きな層を惹き付けるのはよくわかる。メロウな“街まで”にはYUNGYU、Laptopboyboyによる“渋谷”にはpinoko、“Glam”には春ねむりとのコラボも想起させるNERO IMAI、shaka bose製の“梁州105-b”には野崎りこんがそれぞれ登場し、食品まつりやRhymeTubeもビートを提供。落ち着いた語り口が“Plasma”“やわらかい体”での幕切れまで深い後味を残す好盤だ。