『現金に手を出すな』『肉体の冠』のジャック・ベッケルの幻の傑作が遂にソフト化! ヌーヴェル・ヴァーグから敬愛されたベッケルではあるが、トリュフォーも酷評した〈失敗作〉の烙印を押された本作は、確かにベッケル自身が作りたい映画ではなかったかもしれない。だが、ルパンの犯行を省略せず〈全部見せ〉するアクションの魅惑(チームプレイでの犯行過程でお目当ての絵画をあっけらかんと放り投げる図の可笑しさ!)。荒唐無稽、軽妙洒脱な犯罪ものであり恋愛喜劇という方向性のベッケル最高傑作! 美しいテクニカラー含め多幸感がダダ洩れだ。