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ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW

 横浜産のヒップホップと言えば、DS455やOZROSAURUSらのお膝元ということもあっていわゆるウェッサイ・スタイルのイメージが強いですが、ヨコハマ・ディビジョン代表のMAD TRIGGER CREWは、まさにその路線を地で行くグループと言えるでしょう。メンバーはMr.Hc(ミスターハードコア)こと碧棺左馬刻(CV:浅沼晋太郎)、45 Rabbitこと入間銃兎(CV:駒田航)、Crazy Mこと毒島メイソン理鶯(CV:神尾晋一郎)の3人で、職業は順番にヤクザ、汚職警官、元海軍の軍人というヴァイオレンスな面々が揃っています。

ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW BAYSIDE M.T.C EVIL LINE(2017)

 そのリーダーを務める左馬刻のソロ曲“G anthem of Y-CITY”は、パトカーのサイレン音がけたたましく鳴るなか強面なフロウで威嚇しまくるNWAばりのギャングスタ・ラップ。時に某ヤクザ映画のテーマ曲のようなノリも見せつつ、乾いたワウ・ギターに乗せて壮絶なストリート・ライフを語る様はまさにハードコアです。2パックからK DUB SHINEまでを繋ぐ定番のライン〈KILL KILL KILL〉〈MURDER MURDER MURDER〉も挿入した技アリのリリックは横浜出身のサイプレス上野が担当。

 そしてホーンの勇壮なフレーズで幕を開ける銃兎のソロ曲“ベイサイド・スモーキングブルース”は、HOME MADE 家族のKUROとBUZZER BEATSのCHIVAがそれぞれ詞と曲を提供。ピアノをメインにした静かに燃え上がるようなトラックに乗せ、ワルどもを向こうに回して気炎を吐くヴァース部分と、スムースな歌声を聴かせるフック部分の対比が、犯罪と隣り合わせの生活のなかでふと見せる哀愁の表情を匂わせるような、味わい深い一曲です。

 海軍ラッパ風の音から一転、銃声を合図に往時のドクター・ドレーを思わせるピーヒャラ・シンセのGファンクへと雪崩込む理鶯のソロ曲“What's My Name?”は、“G anthem of Y-CITY”も手掛けたALI-KICKがトラックを制作。解体された軍の復活を信じて山奥で生活を行っていたという彼らしい、サバイヴ力溢れる不敵で逞しいライムを書いたのはラッパーのUZIで、何事にも動じない安定感を感じさせるどっしりとした低音ヴォイスもクール!

左から、NWAの88年作『Straight Outta Compton』(Ruthless)、11月28日にリリースされるサイプレス上野とロベルト吉野のニュー・アルバム『ドリーム銀座』(EVIL LINE)、HOME MADE 家族のベスト盤『LAST FOREVER BEST ~未来へとつなぐ FAMILY SELECTION~』(キューン)