大ヒット曲“Shy Guy”で知られる、ダンスホール・クイーン、ダイアナ・キングが年末~大晦日にかけて、ここ日本に降臨。12月29日(土)にBillboard Live TOKYO、12月31日(月)にBillboard Live OSAKAでパフォーマンスを行う。もちろん、3I日の大阪公演は新年へ向けたカウントダウン・ライヴだ。

ダイアナ・キングは、インド系ジャマイカ人の母とアフリカ系ジャマイカ人の父のもと、70年に生まれた。5歳の頃から教会で歌いはじめた彼女は、アレサ・フランクリンやチャカ・カーンといったアーティストに憧れ、13歳で歌手になる夢を追い家出(!)。キングストンのクラブや、観光地オチョ・リオスのホテルで観光客を相手に歌うようになる。やがて彼女の歌は評判を集め、92年にはスーパースター・ディージェイ、シャバ・ランクスのバック・コーラスを務めた。

そして、94年にノートリアスBIGの楽曲“Respect”に参加したことで注目され、以降にソニーと契約。翌年、ウィル・スミス主演の映画「バッドボーイズ」のサントラに提供した“Shy Guy”をシングルとしてリリースした。同曲は、世界各国のチャートを席巻。ここ日本でもJ-WAVEで首位をマークするなど、音楽ファン以外にも浸透した〈時の1曲〉になった。〈マーシーマーシマーシー〉という、粘っこい歌メロは、きっと誰しも聴いたことがあるはずだ。

この“Shy Guy”を収録したファースト・アルバム『Touger Than Love』も好セールスを記録。とはいえ、あまりに記名性の強いポップ・ボムを生み落してしまったアーティストは、総じて〈次の一手〉に苦しむもの。彼女も時代の徒花として消えていくことも予想されたが、幼少期からただひたすらに歌手の夢を追いかけてきたダイアナは、そんなヤワなタマじゃなかった。97年にリリースしたセカンド・アルバム『Think Like A Girl』の収録曲で、ディオンヌ・ワーウィックをレゲエ調にカヴァーした“I Say A Little Prayer”が、今度はジュリア・ロバーツの主演映画「ベスト・フレンズ・ウェディング」に使用されヒット。〈ワン・ヒット・ワンダー〉という風向きを、見事に払拭した。

その後は、98年にセリーヌ・ディオンのアルバム『Let's Talk About Love』で、彼女の既発曲“Treat Her Like A Lady”が採り上げられ、2002年にはマドンナのレーベル、マーヴェリックと契約。同性のアーティストからの支持の厚さを印象付けた。

2007年からは、みずからのレーベル〈ThinkLikeAgirl〉を拠点に、寡作ではあるものの、ときおり楽曲を発表。最新アルバムは、2011年の『AgirLnaMeKING』。かつてのようなチャート・ブレイクを起こしはしないものの、あいかわらずの歌唱力とフックたっぷりのメロディー・センスで、ナイスなレゲエ・ポップを送り出している。

『AgirLnaMeKING』収録曲“JEANZ N T-SHIRT”
 

また、彼女のキャリアを振り返るうえで、ある意味“Shy Guy”以上のキー・トピックなのは、2012年に自身がレズビアンであるとカムアウトしたことだ。当時のジャマイカはまだLGBTへの理解が浅く、性的マイノリティーへの暴力も稀ではなかった。さらに、彼女の出自であるレゲエ・シーンは、同性愛嫌悪の傾向が強いことでも知られている。事実、彼女はジャマイカの音楽史において、初めて公にカムアウトしたアーティスト。それゆえに、ダイアナが公表したことは非常に勇気のある決断をともなっており、多くの人々が、その行為を称賛した。

つまり、ダイアナ・キングは、この#MeToo時代にこそ、その存在にあらためてスポットライトが当たるべきアーティストと言えよう。もちろん、彼女定番のヒット曲で一年ぶん踊り狂いに足を運ぶのも最高だ。けれど、ダイアナ・キングのライヴで年を越すことが、この2018年において、実はアクチュアルな行動であることも、〈マーシーマーシマーシー〉とお酒片手に歌いつつ、頭のほんの片隅に入れておいてもいい。

2011年のライヴ映像

 


LIVE INFORMATION
ダイアナ・キング
2018年12月29日(土)Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場15:30/開演16:30
2ndステージ:開場18:30/開演19:30
サービスエリア 10,000円/カジュアルエリア 9,000円(1ドリンク付き)
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2018年12月31日(月)Billboard Live OSAKA
1stステージ:開場18:30/開演19:30
サービスエリア  10,000円/カジュアルエリア 9,000円(1ドリンク付き)
2ndステージ(COUNTDOWN SHOW):開場21:30/開演22:30
サービスエリア 12,500円/カジュアルエリア 11,500円(いずれもグラスシャンパン付き)
★詳細はこちら