バーンスタイン生誕100年記念 マーラー:交響曲全集が遂にSA-CDシングルレイヤー化

 マーラー演奏のバイブルである第1回目の全集は、LPで初出以来、CD時代にあっても何度も再発されてきた名盤だが、2007年に、復刻盤としては初めてオリジナルの3chのアナログ・マスターテープから2chへ、ミキシングからやり直した音源を元にマスタリングを行った上で、初SA-CD化(製品はSA-CDハイブリッド盤)されたことは記憶に新しい。この時の最重要プロジェクトを手掛けたのが、元Sony Classicalのエンジニアで、現在ではタワーとの企画盤の新規ミキシングとマスタリングを手掛ける、アンドレアス・K・マイヤー氏である。セルのベートーヴェン:交響曲全集他のプロダクツを聴いた方には、氏の拘り抜いた技がいかに素晴らしいかということを理解してもらえるはずである。

LEONARDO BERNSTEIN マーラー:交響曲全集 Sony Classical(2018)

 その氏をもって、2007年時のこのDSD化がマスター音源復刻の最終完成形であると断言していることから、音質面では今回復刻のSA-CDシングルレイヤーが、フィジカルとしては究極の形に極めて近いということがわかる(前回時はマルチのSA-CDハイブリッドであった)。非圧縮のSA-CDシングルレイヤーの長時間収録という特性を活かした盤割り、タワー企画盤時と同様に内容が充実しまくった分厚い解説書の詳細解説や各種データ、各盤のオリジナル・ジャケット・デザイン使用と充実した箱のサイズは、パッケージとしてのまさに究極の形を具現化したと言えるだろう。

 演奏内容については言うまでもないが、解説書に記載されているバーンスタイン&NYPのマーラー演奏のデータを見ると、《復活》や《第4番》などの一部の曲を除いては、定期公演に合わせて、演奏後に収録していたことがわかる。彼らとて当初は手探りで進めてきた一大事業であったのだろう、ということに想いを馳せながら、素晴らしい音で蘇った究極の音を存分に楽しんでいただきたい。