INTERVIEW

YoYo the "Pianoman"『O.G SWING』 SOFFet活動休止を経ての初ソロ・アルバムに込めた思いとは?

YoYo the

 2人組のラップ・ユニット、SOFFetで長く活動してきたYoYoが、グループの活動休止を経て初のソロ作品をリリースする。YoYo the "Pianoman"を名乗って完成させたデビュー・アルバム『O.G SWING』で聴けるのは、ピアノとギターのクァルテットによる、懐かしくも心躍るスウィンギーなジャズ・ナンバーだ。

YoYo the "Pianoman" O.G SWING Playwright(2018)

 「ピアノを弾くことは、曲作りやレコーディングがメインだったんですけど、SOFFetのライヴで生ドラムを入れたセッション・パートをやり始めてから、ライヴ・パフォーマンスとしてのおもしろさを知ることになったんですよね。他にもきっかけがあって、東日本大震災後に避難所となっていた大船渡の中学校へ行ったとき、最初はSOFFetの曲を歌う予定だったんですけど、雰囲気や現場の環境がうまく作れないなか、体育館の隅にあったピアノを触っていたら、子どもたちがいろんな曲をリクエストしてきて、それを弾いたらすごく喜んでくれた。そこで急遽インストでライヴをしたら、みんなが大歓迎して楽しんでくれて。そんな経験からピアノやインストの魅力、音楽の力にも改めて気付かされ、これをちゃんと作品にしたいと思ったのがYoYo the "Pianoman"の始まりです」。

 デビュー・ライヴは2012年の7月。避難所で子どもたちにリクエストされたという“威風堂々”のカヴァーや、初のオリジナル曲“O.G Swing”など、今回のデビュー作で重要な位置を占める楽曲はライヴを通してレパートリーとして仕上がっていったものだという。

 「“O.G Swing”は、僕がやりたいスウィングの世界をいちばんわかりやすく表現できてる曲。〈スウィング王子〉というキャラクターを作り出して、絵本を作って、そのストーリーが映像で流れるというコンセプチュアルなライヴを行いました。スウィング王子のダジャレで〈O.G. Swing〉。SOFFetのときもジャンルで説明するなら〈スウィング・ラップ〉と言ってきたんですけど、自分がいちばん好きな、ハッピーになれるジャズのサウンドはずっと共通している部分ですね」。

 フェイヴァリットのピアニストはオスカー・ピーターソン。他にビル・エヴァンス、ナット・キング・コール、レッド・ガーランドなど、ジャズ黄金時代の名手たちへの憧れを語る口調が熱い。アルバム冒頭を飾る“O.G Swing”“O.G Blues”“O.G Skate”の3部作には、古き良きジャズのスウィング感覚が濃厚に漂っている。

 「その感覚が伝わっていれば目標達成ですね。初めての作品なのでピアノ選びもスタジオ選びも慎重にやって、自分が表現したい音をエンジニアさんも汲み取ってくれて、徹底してこだわったレトロな質感の味わいを全体につけてくれました」。

 カーペンターズ“Close To You”やベートーヴェン“エリーゼのために”など、即興パートを交えたカヴァーも出色。さらに“水芭蕉”“父と娘のダンス”など、優れたメロディーメイカーとしての才能が迸る美しいスロウ・ナンバーも聴きどころだ。

 「YoYo the "Pianoman"の方向性は2つあって、ひとつがスウィングで、もうひとつが〈sound depiction〉――音の情景描写という意味なんですけど、“水芭蕉”“父と娘のダンス”“Moonlight”はそっちのイメージですね。“父と娘のダンス”は、このプロジェクト自体が〈言葉以上の感情〉を音で表現したいと思ってやっているなかで、〈まさに親子の愛情ってそういうことだな〉と思ってタイトルをつけました。“Moonlight”は高知県の香北町にオープンしたホテルへの書き下ろしで、ホテル内の授乳室で流れる音楽のイメージで作った曲です。それと星がいっぱい見えそうなロマンチックなイメージも混ざり合って、シンプルに聴かせるピアノのメロディーに仕上げました」。

 めざすのは、ジャズという楽しくも奥深い音楽の求道者にして案内者。それは高校生でジャズに惹かれ、バークリー音楽大学へ留学し、SOFFetで〈スウィング・ラップ〉を追求してきた男の、終わりなき夢の一本道だ。

 「お客さんに楽しんでもらいつつ、自分自身が果てしなく追及していける音楽だなと思うので。それを伝えていくことがいちばんの目標ですね」。

 


YoYo the "Pianoman"
80年生まれ、東京出身のピアニスト/作詞・作曲・編曲家/歌い手/サウンド・プロデューサーであるYoYoのソロ・プロジェクト。4歳からピアノを習いはじめ、15歳の時に独学で作詞・作曲を始める。友人のGooFとSOFFetを結成する傍ら、19歳でバークリー音楽院に入学。帰国後の2002年にSOFFetでの初作『ソッフェのぽかぽかミュージック』をリリースし、翌年にメジャー・デビュー。コンスタントに作品を発表しながら、楽曲提供や演奏でSMAP、bird、ウカスカジー、RIP SLYMEらの楽曲にも携わっていく。2012年にソロ・プロジェクトを始動。2017年末のSOFFet活動休止を経て、ファースト・アルバム『O.G SWING』(Playwright)を12月5日にリリースする。

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