INTERVIEW

ものんくるの音楽が愛される理由――菅野結以×WONK/MELRAW/SIRUP/CRCK/LCKS/ものんくる座談会

「RADIO DRAGON」×〈DOVETAIL〉完全版テキスト:最終回

ものんくるの音楽が愛される理由――菅野結以×WONK/MELRAW/SIRUP/CRCK/LCKS/ものんくる座談会

来年2019年1月12日(土)に東京・代官山UNITで開催されるライヴ・イヴェント〈DOVETAIL(ダブテイル)〉。Mikikiでは、同イヴェントに出演するWONK、MELRAW、SIRUP、CRCK/LCKS、ものんくるが、菅野結以がパーソナリティーを務めるTOKYO FM「RADIO DRAGON-NEXT-」内で行った座談会の模様を、計6回にわたってテキストで公開中だ(イヴェントと本記事の概要は第1回の記事へ)。

〈なれそめ編〉〈WONK編〉〈MELRAW編〉〈SIRUP編〉〈CRCK/LCKS編〉に続く最終回は、〈ものんくる編〉。今秋にニュー・アルバム『RELOADING CITY』をリリースしたばかりのものんくるは、吉田沙良(ヴォーカル)と角田隆太(作詞/作編曲/ベース)からなるポップス・ユニット。ミュージシャンからのファンも多いその音楽性の魅力について、6名がトークした様子をお届けする。

★座談会・完全版テキストの記事一覧はコチラ

 


角田さんの中には腐女子が住んでいる

菅野結以「では、ものんくるの曲紹介をお願いします」

角田隆太(ものんくる)「去年出したアルバム『世界はここにしかないって上手に言って』から、“ここにしかないって言って”。聴いてください」

ものんくるの2017年『世界はここにしかないって上手に言って』収録曲“ここにしかないって言って”
 

 

(“ここにしかないって言って”オンエア中)

小西遼(CRCK/LCKS)「ここ(冒頭)がキラーすぎるよね」

菅野「この歌詞を男性が書いてるってのがすごいですよね」

長塚健斗(WONK)「絶対に書けない(笑)」

角田「お客さんがTwitterかなんかに書いてくれてたんですけど……〈角田さんの中にはいかれた腐女子が住んでいる〉と」

全員「アハハハ(笑)」

小西「でもイヤな〈ヘラみ〉がないのがいいよね」

菅野「ヘラみ(笑)」

長塚「わかるわあ」

小西「健康的なバンギャみたいな?」

 

キラーチューンのお手本

菅野「この歌詞を、男性の角田さんが書いているということで」

角田「はい。ものんくるの歌詞は僕がほとんど書いてるんですよ。基本的にはあて書きをしてるつもりなので、自分の言葉ではある意味ないというか。沙良(吉田沙良、ヴォーカル)が歌う前提で書いているところはあります」

小西「それは、沙良ちゃんの性格とかを踏まえてあて書きしてるの?」

角田「そうですね」

SIRUP「〈こうあってほしい〉とかもある?」

角田「それもなくはないですけど、基本的には沙良がこうだってところに寄せていく感じです。最近はいろんな人に書かせてもらったりもしてるんですけど、その人がどういう人かとか、その人の過去の作品をいっぱい聴いて、こういう感じかな?と考えて書くことは多いですね」

菅野「角田さんがこの曲を選んだ理由は?」

角田「今回ここに集まっているみなさんは本当に素晴らしい人たちばっかりで、そしてめちゃくちゃ忙しいので、できるだけ簡潔に伝えたいと思いまして。一番短い曲を(笑)」

※“ここにしかないって言って”は1分49秒

菅野「そんな理由(笑)」

小西「でもこの曲のこの短さ、本当ずるいと思うんだよね」

SIRUP「逆に、倍くらい情報量がある気がしてしまうんですよね。2回目に聴いたら〈あれ、違う感じに聴こえてきた〉みたいな」

菅野「SIRUPくんも小西さんも〈ものんくるの好きな曲〉でこの曲を選ばれてますね」

小西「はい。もうキラーチューンのお手本みたいな感じですよね」

角田「この曲はね、自分でも書けたのが奇跡的だと思ってて。1分50秒で完成してるんですよ。だからここから何かのソロが入って、2番があって、って展開しなくていいなと思って。これで終わらせよう、と」

小西「他には結構長い曲もあったりするよね? 一曲一曲を書くにあたって、世界が完結というか曲の歌詞が完結するところまでは書ききるというのは、自分の溜飲が下がるような気持ちはあるの?」

角田「そうだね。これじゃ終われないなって思ったらどんどん書くし、結果的に10分くらいの曲も初期はあったりするし」

MELRAW「歌詞先行で曲が長くなるってのもあるんだ?」

角田「うん。先行ってわけじゃないんだけど……」

MELRAW「〈サンドイッチ〉ね」

※ものんくるは〈サンドイッチ法〉で作曲するという。第2回の記事を参照

角田「そうそう。言いきれてないなってときは長くなる。表現したいコレが足りてないなと思うとき」

小西「でもおもしろいのは、ものんくるはアルバムごとに何となくの世界観が一致してるじゃない? 同じ世界で生きて書いてるって感覚があるのかな」

角田「それは制作期間が大体何か月とかになるから、そのときに思ってることが大体同じになるってことかな」

 

小西遼のものんくるへの熱き想い

菅野「アンケートではものんくるの印象についてもお訊きしています。小西さんは〈長年の仲間すぎて印象がない〉と」

角田「もうこのコメント読み上げる必要がないですねえ」

菅野「(笑)。でも小西さんはものんくるの好きな曲、めちゃめちゃ選ばれてますから。〈1曲〉でお願いしてるのに」

角田「有難いですね(笑)」

小西「もう長年の仲間すぎて、好きだとも言えないんですよね(照笑)。〈好きだって知ってるでしょ!〉みたいな」

角田「この人、最近呑んでくれないんですよ。この前も誘ったら〈金ないから呑めない〉とか言われて」

全員「アハハハ(笑)」

角田「それで次の日に他の人とバンバン呑んでたりするからね」

小西「へへへ(笑)。あのときは本当にお金なかったんだよ(笑)」

角田「まあ、もはやそれでもOKみたいな関係にはなってますね」

小西「出会ったときから数えると、もう10年近いんです。角田がまだ歌詞を書いてない頃から知ってるので。一番最初に歌詞を書いたときの印象もよく覚えてるし」

菅野「どんな印象?」

小西「学校の授業だったよね、たしか。潜りこんでた授業で曲と歌詞を書いていて」

角田「そうだっけ?」

小西「インストものはジャズ・バンドでずっとやってたんですけど、そこにだんだんとJ-Popの要素が入ってきて……構成も普通のジャズとはちょっと違うみたいな。そういう曲に歌詞をつけたんだと聞いて。これを歌モノみたいにして、ジャズと融合させてやってみるのがおもしろいと思うんだよね、と。

で、俺も一緒にやってたんですけど、どんどん曲が出来てくるんですよ。一番最初のライヴの時点でもう5~6曲は出来ていて」

角田「それは沙良と出会って、一緒にライヴやるってなったから。日本語詞の曲を書きはじめたのは、元々日本語詞の曲が好きだったこともあって、オリジナルでやりたいなと思ったからです」

小西「俺からすると、その頃からいまに至るまで角田が描いている世界みたいなものはずーっと一緒なんですよね。角田の目から見た世界というのがそこにはあって。そのときからずっと触れて見ていて、最初の時点で心底好きになっちゃったから、あまり印象がない」

SIRUP「いまめっちゃあったやん、印象(笑)」

全員「アハハハ(笑)」

菅野「素敵ですねえ。そして、MELRAWさんの印象は〈音楽そのもの〉」

MELRAW「俺もね、印象がないわけじゃないんだけど、何て書こうかなってすごく考えてて。僕とものんくるの出会いは、元々つのさん(角田)より先に沙良ちゃんとものんくる以外でライヴをご一緒することがあって。そこでものんくるのことを聞いて、音源を聴いて、普通にファンになって。そこから自分の好きな音楽の一項にものんくるはあったんです。

で、それ以降ライヴ・サポートやレコーディングにも参加させてもらうことになり、こうして対バンすることになって。もちろん歌詞だったりも好きなんだけど、自分の中でそこに特に惹かれてというよりはトータルで、〈ものんくるの音楽〉ってものに顔面パンチを食らわせられ続けているというか」

角田「この間MELRAWがすごい酔っぱらってたらしいときに、Instagramでものんくるの一番最初の曲のイントロについて挙げてて。〈この“ガーン!”に何度救われたことか〉みたいなエモエモな文面で〈ストーリー〉で何個も投稿してたんです。最終的に〈酔っぱらってました、すみません〉ってなってたけど(笑)」

小西「(笑)。でも、ものんくるって酔ってるときに聴いちゃいけない音楽ナンバーワンだと思うんだよね。俺もNYにいたとき、ものんくるを聴きながら何度号泣して帰ったか」

角田「小西さん、号泣しがちだもんね(笑)」

菅野「そうなんだ(笑)。いやあ、愛ですね」

角田「嬉しいですよ、本当に」

MELRAW「ものんくるはこの界隈で一番愛されてる気がするんですよ」

小西「間違いないね」

菅野「ものんくるの楽曲は、聴き心地とか感触は凄く柔らかいのに、めちゃめちゃ鋭利に奥底を刺してくる感じというか。この曲も、実はすごく凶暴な曲ですよね」

角田「風船が割れたと思ったら中に針が入ってるみたいな」

長塚「エグい!」

 

共通点は、みんな共通点がないって思ってるところ

菅野「ものんくる的にはこの5組でやることはいかがですか

角田「さっきもちょっと話にありましたけど、サポートも被ってたり、いるシーンが近いようにも見えるんですけど、それぞれに大事にしてるところが全然違うと思うんですよ。だから意外と、ライヴで並べて観たら全然違う出音で、全然違う印象だと思うんですよね。なので、その差を楽しんでほしいなと」

菅野「うんうん。当日は何時間くらいやるんですかね? すごく濃密な時間になりそう。(スタッフからカンペ)……5時間だそうです!」

小西「この日はスタートも早いですよね」

菅野「あ、16時からなんですね」

SIRUP「じゃあ終わりは健全なんですね」

小西「いやいや俺らの終わりは……打ち上げしないといけないから」

菅野「〈いけない〉んですね(笑)。ここまでお話伺ってきましたけど、この〈DOVETAIL〉というイヴェント。みなさんの共通点、通ずる点(=DOVETAIL)って何だと思いますか?」

MELRAW「うーん、みんなけっこうさあ……ってしゃべりだしちゃったけども」

全員「アハハハ(笑)」

MELRAW「みんな尖ってるっていうところかな」

小西「尖ってるというか、ぬるくはないよね。滾ってる。角田が言うように、それぞれやりたいことは違ってて、そこに関してはプライドと矜持みたいなものをちゃんと持ってやってるから、容赦なく戦っていける感じがある。イヴェントが決まったときに、〈よっしゃ、やったろ〉って気持ちしかわかなかったですもん」

SIRUP「自分たちがいる場所がはっきりしてるから、他を受け入れやすいってのはあるかも」

小西「こういうラインナップのイヴェントなのに、すごく開かれた感じもするんだよね。そういえば、最近地方によくライヴで行ってたんですけど、北でも南でもこの日のチケット買いましたって人がけっこう多くて」

長塚「それ嬉しいっすね」

小西「たしかにこのラインナップはこのイヴェントはこの先もうないだろうなって」

角田「共通点は、みんな共通点がないって思ってるところだと思うな」

全員「あー」

菅野「私は〈青い炎〉って感じがすごくしますね。パッと見はクールだったり、逆に柔らかかったりするんだけど、内側ではめちゃめちゃ燃えてるみたいな」

SIRUP「今日話してみてわかりましたけど、俺は完全に共通点は〈エモ〉やなって(笑)」

小西「あ、それはあるね。でも世代感ってとこであまり共通って感じないですね。聴いてる音楽はバラバラだろうし」

MELRAW「たぶん、バックグラウンドも似てるようで違う。例えば同じアルバムを聴いてても一番好きな曲がバラバラ」

 

みんなで一曲カヴァーをするとしたら……?

菅野「もし、みんなで一曲カヴァーをするとしたら、どういうものになるんでしょう?」

小西「なんだろう……安易なアンセムとか選んじゃいそうだね

角田「“明日にかける橋”(サイモン&ガーファンクル)とかね」

小西「“Sir Duke”(スティーヴィー・ワンダー)とかね」

長塚「“Sir Duke”、やば!」

小西「一番やっちゃいけないやつだけど(笑)」

菅野「意外とルーツは違うんですかね」

MELRAW「違うと思いますね」

小西「さっきMELRAWが言ってたとおりで、同じものを聴いてても感動するポイントが違うというか。これは難しいけど一個答え出してみたい!」

長塚「リスナーのみなさんからご意見ほしいですね」

小西「先週やっとくべきだったな(笑)。日本のものをやるか、海外のものをやるかでまず二択だと思うんだけど」

SIRUP「何となく、日本の曲な感じはしますけどね」

長塚「うん。じゃあ日本ので考えましょう」

小西「日本語で好きな曲挙げてってみるのはどう?」

角田「じゃあ俺から。一番最初に感動した曲ってaikoさんの“恋愛ジャンキー”って曲なんです。『桜の木の下』(2000年)というアルバムの曲で。それを聴いたときに、音楽の魔法にかけられたんですよ」

MELRAW「じゃあ俺違うわ。(同アルバム収録の)“桜の時”だから」

角田「いまaikoに2票入ってます(笑)」

小西「俺は奥田民生さんで、スカパラとの“美しく燃える森”」

全員「あー!」

小西「このテの話すると、どうしてもこの曲になっちゃいますね。一番最初に影響を受けた日本語の歌の人かといえば微妙なんだけど」

SIRUP「自分が一番影響を受けた日本語のアーティストと言うと、宇多田ヒカルさんですね」

全員「あー!」

小西「宇多田ヒカル、ちょっとアリなんじゃない!? 長塚は?」

長塚「僕は玉置浩二さんです」

全員「あー!」

SIRUP「それは聴きたい。僕も大好きです」

長塚「“ワインレッドの心”(安全地帯)。あれはもう食らっちゃいますよ」

小西「ほらもう全然まとまらない(笑)」

菅野「でも、いま挙がったものはどれやってもハマりそうですし、いつかやってほしいですね。この〈DOVETAIL〉の日にでもぜひ。……ということで、この続きは打ち上げで考えていただいて(笑)」

角田「じゃあ録音して後日配信します」

小西「言ったな!」

角田大人の力を借りて(笑)」

長塚「まずは制作予算を訊いて」

角田「まあ、まずは呑みにいきましょう(笑)」

 


TOKYO FM「RADIO DRAGON-NEXT-」

毎週金曜日27時~29時に放送中! https://www.tfm.co.jp/dragon/
※放送されたトークはコチラからオンエア日より1週間聴くことができます。
※TS ONE(全国聴取可)にて毎週土曜日20時~22時で再放送有り。
※放送は関東近郊。関東以外の方はradikoの有料コンテンツ、またはWIZ RADIOで聴くことができます。

 


DOVETAIL
日時:2018年1月12日(土)
会場:東京・代官山UNIT
開場/開演:15:00/16:00
出演:WONK、MELRAW、SIRUP、CRCK/LCKS、ものんくる
チケット:前売4,800円   SOLD OUT
主催・企画・制作:Dentsu Music & Entertainment Inc.、サンライズプロモーション東京、ワイズコネクション
★詳細はこちら

 


■WONK

長塚健斗(ヴォーカル)、江﨑文武(キーボード/ピアノ)、井上幹(ベース/シンセサイザー)、荒田洸(ドラムス)からなるエクスペリメンタル・ソウル・バンド。新曲1曲を収録したリミックス作『GEMINI: Flip Couture #1』を5月23日にリリース。
http://www.wonk.tokyo/
★WONKがクリス・デイヴの魅力を語ったインタヴュー記事はコチラ

WONK GEMINI: Flip Couture #1 epistroph(2018)

〈TAICOCLUB'18〉でのライヴ映像

 

■MELRAW

サックス、フルート、トランペット、ギター、シンセサイザー、MPCを縦横無尽に行き来するマルチ・インストゥルメンタリスト、安藤康平によるソロ・プロジェクト。ファースト・アルバム『Pilgrim』を2017年12月6日にリリース。
http://www.epistroph.tokyo/melraw/

MELRAW Pilgrim epistroph(2017)

『Pilgrim』収録曲“The Rogue”

 

■SIRUP

大阪出身のシンガー・ソングライター、KYOtaroによるプロジェクト。最新EP『SIRUP EP2』を8月1日にリリース。
http://www.sirup.online/

SIRUP SIRUP EP2 Suppage(2018)

『SIRUP EP2』収録曲“Do Well”

 

■CRCK/LCKS

小西遼(サックス/キーボード/ヴォコーダー他)、小田朋美(ヴォーカル/キーボード)、井上銘(ギター)、越智俊介(ベース)、石若駿(ドラムス)から成るポップ・バンド。最新EP『Double Rift』を7月11日にリリース。
http://crcklcks.tumblr.com/
★『Double Rift』リリース時のインタヴュー記事はコチラ

CRCK/LCKS Double Rift APOLLO SOUNDS(2018)

『Double Rift』リリース・パーティーの様子

 

■ものんくる

ジャズを基軸にした独自のサウンドに詩情豊かな日本語詞をミックスした、吉田沙良(ヴォーカル)と角田隆太(作詞/作編曲/ベース)からなる2人組ユニット。最新アルバム『RELOADING CITY』を9月5日にリリース。
http://mononkul.tumblr.com/

ものんくる RELOADING CITY VILLAGE(2018)

〈Music Bar Session〉でのパフォーマンス映像
40周年プレイリスト
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