空中泥棒がニュー・アルバム『Crumbling』を12月4日(火)にリリースした。

〈謎多き〉というか、すべてが謎に包まれた韓国の音楽プロジェクト(?)、公衆道徳。ファースト・アルバム『公衆道徳』(2015年)がLamp主宰のレーベル、Botanical Houseから日本盤として2017年にリリースされると、内容の素晴らしさからその名が口コミで広がっていったことは記憶に新しい。しかし、Lampの染谷太陽が同地の知人に訊いても〈彼はこのアルバムをリリース後一切の公式的な活動をしていないし、誰も顔も連絡先も知らない〉という答えが返ってくるばかりだったとか。染谷が行った貴重なインタヴューもあるが、彼が何者であるのかは明かされていない。

そんな公衆道徳が名義を〈空中泥棒〉へと変更し、新作『Crumbling』をリリースした。前作同様、そのサウンドはジャズやブラジル音楽、フォーク、インディー・ロック、ローファイ、エレクトロニカなどが絶妙に溶け合ったベッドルーム・ポップ・ミュージック。しかし、女声ヴォーカルやシンセサイザーの全面的な導入で、より洗練され、ドラマティックになり、描き出している景色がぐっと広がったように感じられる。

本作について染谷は〈これを聴かずに今年のベストアルバムを選ばないでもらいたい、という内容〉〈超が付くほど凝ったマニアックな内容ながら、聴くものの耳を楽しませるエンターテイメントな作り〉とツイッターで発言しているが、まさにその通り! 年間ベスト・アルバムの筆頭候補が年末に現れた感あり。