COLUMN

2019年音楽初めは、デビュー35周年を迎える須川展也のエドワード・グレグソン《サクソフォン協奏曲》で元気よく新年を迎えよう!

2019年音楽初めは、デビュー35周年を迎える須川展也のエドワード・グレグソン《サクソフォン協奏曲》で元気よく新年を迎えよう!

2019年音楽初めは、デビュー35周年を迎える須川展也のエドワード・グレグソン《サクソフォン協奏曲》で元気よく新年を迎えよう!

 サクソフォンという楽器、特にアルトサクソフォンは吹奏楽という編成ではメロディやソロを担当することが多い〈木管の花形楽器〉である。読者の皆さんも吹奏楽のコンサートでアルトサクソフォンの奏者が立ち上がったり、ステージの前に出てきたりして演奏するシーンを目にしたことがあるのではないだろうか。そう、簡単に言えば〈目立つ楽器〉なのである。

 一方、クラシックの世界であまりその姿を見かけないのは、その新しさゆえ。ベルギー人のアドルフ・サックスが1840年代に考案したサクソフォンは、ユーフォニアムとともに管楽器の中では新参者ゆえ(とはいえ、180年近い歴史はあるのだが)、基本的なオーケストラの編成には加えられていない。

 そんなサクソフォンをソロ楽器としてフィーチャーしたコンチェルトが楽しめるコンサート、〈ニューイヤーコンサート2019〉が新年1月3日に東京文化会館で開催される。

 このコンサートでサクソフォンを奏でるのは、日本を代表するサクソフォン奏者・須川展也だ。

 中学時代にサム・テイラーの《ハーレム・ノクターン》でサクソフォンに目覚め、ビゼーの《アルルの女》でクラシックサックスの美しさを知った須川展也は、静岡県屈指の進学校である浜松北高校、東京藝術大学を経てプロの道に進んだ。ソロ活動のほか、トルヴェール・クヮルテットなどアンサンブル、数々の吹奏楽団と共演をする一方、イギリス・BBCフィルやNHK交響楽団などオーケストラとも精力的にコラボレーションしてきた。

 また近年はヤマハの楽器職人によって構成されたヤマハ吹奏楽団の指揮者という顔も持っている。ヤマハ吹奏楽団は今年の全日本吹奏楽コンクール・職場一般の部で見事金賞を受賞。CDもリリースしている。

 さて、そんな須川展也がイギリス作曲界の重鎮で、吹奏楽では《フェスティーヴォ》《剣と王冠》などの作品で知られるエドワード・グレグソンに委嘱して2006年に作曲されたのが、今回のコンサートで演奏される《サクソフォン協奏曲》である。

 3楽章から成るこの曲は劇的な展開や耳に残る旋律が特徴で、ジャズ・ロックのテイストも取り入れられており、初めて聴いてもすぐその魅力を感じ取ることができる。もちろん、須川展也ならではの超絶技巧も味わえる。第1楽章最後の荒れ狂うような演奏、第3楽章最後の空を突き抜けていくような鋭くも豊かなフラジオの音は聴く者を虜にしてしまう。もちろん、全体を通して軽快で甘美な〈須川サウンド〉を存分に堪能することができる曲になっている。

 今回の〈ニューイヤーコンサート2019〉でグレグソンの《サクソフォン協奏曲》を演奏することについて、須川展也は自身のフェイスブックページで次のように述べている。

 「このコンチェルトも僕の委嘱作品ですが、世界に広がっているとてもカッコいい曲なんです。映画のシーンを感じさせるようなラストの舞い上がるような音楽は吹いていても感動するのです。なんとエンディングはハ長調!! お正月にぴったりの曲。未来に突き進んでいくイメージです」

 2019年は須川展也のデビュー35周年。そんなメモリアルイヤーの幕開けに、グレグソンの《サクソフォン協奏曲》はベストマッチだ。

 しかも、注目の若きマエストロ・川瀬賢太郎とは初めての共演となる。演奏は東京都交響楽団。日本のオーケストラの管楽器・打楽器のメンバーの中には学生時代に〈ブラバン〉にのめり込んでいたという奏者も少なくない。須川展也のサクソフォンとマエストロの指揮、そして、オーケストラとの間にどんな音楽の化学反応が生まれるのか、今から楽しみだ。

 《サクソフォン協奏曲》以外の曲目、いずれもチャイコフスキー作曲の《オペラ『エフゲニー・オネーギン』より「ポロネーズ」》と《交響曲第4番 ヘ短調 op.36》にも期待大。

 この〈ニューイヤーコンサート2019〉には、クラシックファンはもちろんのこと、ぜひ吹奏楽部に所属する中高生や吹奏楽ファンにも足を運んでいただきたい。一流の音楽家たちの演奏は、必ずや皆さんの感性を刺激し、深い〈音楽の喜び〉を教えてくれることだろう。

 


須川展也 (Nobuya Sugawa)
サクソフォン奏者。1961年佐賀県生まれ。東京藝術大学卒業。ソリストとしての活動の他に、トルヴェール・クヮルテットメンバー、ヤマハ吹奏楽団常任指揮者。東京藝術大学招聘教授を務める。2014年4月より京都市立芸術大学客員教授に就任。作曲家への委嘱も積極的に行なっており、それらの作品は20~21世紀のクラシカルサクソフォンの主要レパートリーとして国際的に広まり、サクソフォン音楽の発展に力を注いでいる。

 


エドワード・グレグソン (Edward Gregson)
イギリス人作曲家。1945年サンダーランド生まれ。1963年から1967年にかけて王立音楽アカデミーで作曲とピアノを学ぶ。その後、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの音楽学部教授やマンチェスター大学名誉教授として教鞭を取る。BBCフィルハーモニックやロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、ボーンマス交響楽団やハレ管弦楽団などから委嘱されている。またアイヴァー・ノヴェロ賞と英国作曲家賞ヘのノミネート経験を持つ。

 


LIVE INFORMATION

《響の森》Vol.43 ニューイヤーコンサート 2019
○1/3(木)14:20開場/15:00開演
会場:東京文化会館 大ホール
【出演】川瀬賢太郎(指揮)須川展也(sax)東京都交響楽団
【曲目】
チャイコフスキー:歌劇『エフゲニー・オネーギン』より「ポロネーズ」
グレグソン:サクソフォン協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36
www.t-bunka.jp/

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