COLUMN

【特集:大人のbounce】ビートルズやポール・マッカートニー、ディラン、ジミヘンらロック・レジェンドの話題作を一挙紹介!

©Apple Corps Ltd.

THE BEATLES
1968年のざわめきと刺激をいまなお新鮮な音楽で伝える、50年目の〈ホワイト・アルバム〉とビートルズ

THE BEATLES The Beatles: White Album (Super Deluxe Edition) Apple/ユニバーサル(2018)

 もう50年も経ったのかと感慨を新たにするリアルタイマーもいるだろうし、いまから50年前にこんな音楽があったのかと初めて知る人もいるかもしれない。そうでなくてもビートルズの『The Beatles』=通称〈White Album〉は価値が定まった名盤中の名盤であって、その〈50周年記念エディション〉ともなると、まるで古代文明の遺跡や巨大な建築物を訪れた気分で圧倒されるばかりだが、そこをポップな観光地であるかのように整備/案内してくれるのがミックスを担当したジャイルズ・マーティン(ジョージ・マーティンの息子)とサム・オケル(アビー・ロード・スタジオの現エンジニア)だ。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の50周年記念盤も手掛けたこのコンビは、今回もオリジナルのアナログ・マルチ・テープまで遡ってリミックスする形でレジェンドの音を2018年のサウンドに仕立てている。 複数の形態が選べる今回の〈50周年記念エディション〉ながらCD1~3の内容は共通している。CD1~2はもちろん〈White Album〉本編をステレオ・アルバム・ミックスで再構築したもの。CD3の〈イーシャー・デモ〉は、アルバム制作を控えたメンバーたちがサリー州イーシャーにあるジョージ・ハリスンの別荘で録られた、和やかな雰囲気のアコースティック・デモ。結果的に〈White Album〉で採用されなかったものも含め、ここでは27曲が録音されている。本編で採用されなかった曲には『Abbey Road』(69年)に収まる“Polythene Pam”“Mean Mr. Mustard”や、ポール・マッカートニーの“Junk”(70年)、ジョン・レノンが“Jealous Guy”(71年)として世に出す“Child Of Nature”、ジョージの“Not Guilty”(79年)と“Circles”(82年)、ジョージがジャッキー・ロマックスに提供する“Sour Milk Sea”(69年)といった後から日の目を見るナンバーもあって興味深い。

 そして50周年のさらなる目玉となるのが〈セッションズ〉として〈スーパー・デラックス・エディション〉のCD4~6にまとめられた全50トラックものアウトテイクだ。本編に収録されたほぼ全曲の別テイクに加え、同年のシングルとなる“Hey Jude”のファースト・テイク、エルヴィス・プレスリー“Baby, I Don't Care”などのカヴァー、何と“Let It Be”のリハーサル・テイクなど驚くべきヴァージョンも楽しめる。

 20代後半に差し掛かって私生活にも大きな変化の生じていた4人がインド逗留を経て個々に楽曲を持ち寄った〈White Album〉を、それぞれの個性の拡散や人間関係の変化を映し出したドキュメントとして捉えるのはもちろん可能だが、セッションの雰囲気や端々に交じる会話から伝わってくるのは、それでも長年の友情や信頼で結ばれた意識と創作へ向かうヴィジョンを共有したバンドとしての姿だ。めいめいがアイデアを並べたのではなく、〈White Album〉もやはりこの4人だからこそ作れた一枚なのだ。そう考えれば、このアルバムが『The Beatles』と題された意味も改めて見えてくるような気がしている。

 

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