誤解を恐れずに言うならば、〈現代ジャズ・ミュージシャンが奏でるポップス〉という印象。パット・メセニー・グループの一員としての活動で知られ、ソロでも素晴らしい作品をリリースしてきた、ペドロ・アズナールがゲスト・ヴォーカルとして参加し、彼の〈歌〉の素晴らしさがフィーチャーされた歌モノ作品ではあるが、多彩なリズムアレンジや、ピアノのメロディを中心としたメロウな旋律の美しさがポップで親しみやすい楽曲に奥行きを加えている。現代アルゼンチン屈指のコンポーザーによる、ソングライティングの妙技が堪能できる一枚。