COLUMN

【Discographic】felicity 2018→2019 サブ・レーベルや年明けの動きも含め、注目カタログを振り返る

快速東京 DEATH felicity(2018)

結成10周年を飾る5作目。トレードマークの短くて速い、痛快ドタバタなハードコア・サウンドは路線変更なんてするわけはなく、その極みをさらに愚直にめざしている。〈27歳じゃぜんぜん死ねなかった〉と叫ぶ“28”などでは、ロック界の定石(?)をネタに逆説的なリスペクトも。肉体疲労時の栄養補給に聴け! *田山

 

坂口恭平 アポロン felicity(2018)

作家や建築家など、多彩な顔を持つ異才による初のスタジオ録音盤。寺尾紗穂、厚海義朗、菅沼雄太というバンド・メンバーを迎えてたった1日で録音されたという、親密にしてソウルフルなフォーク・アルバムだ。〈温かくて、泣けるのに、でもなぜか踊れる〉というレーベルのコメントがまさに。 *金子

 

国府達矢 ロックブッダ felicity(2018)

異形のシンガー・ソングライターが15年の空白を吹き飛ばした最新作。オリエンタルな節回しとオルタナなバンド・サウンド、変拍子もファンクも呑み込んだグルーヴという空中分解を起こしそうな諸要素が有機的に溶け合い、スリリングでスケールの大きいポップ・ミュージックとして実を結んでいる。 *澤田

 

前野健太 サクラ felicity(2018)

フォーキーな表現を開拓してきたシンガー・ソングライターが、ceroの荒内佑、岡田拓郎、石橋英子、武藤星児をプロデューサーに迎えた一作。昭和歌謡にシティーな趣のポップ・チューン、ジャジーなブルースなどのアレンジを動員することで、歌手としての新たなポテンシャルを露にしている。 *澤田

 

王舟,BIOMAN Villa Tereze NEWHERE MUSIC(2018)

この年始動したfelicityの兄弟レーベルからの第1弾は、無国籍なシンガー・ソングライターとneco眠るのシンセ奏者による共作インスト盤。イタリアで取り組んだエキゾな響きのアンビエント・ポップ集となっていて、アコギやフルート、環境音にエレクトロニクスなどが溶け合うサウンドが、心に安らぎをもたらす。 *田山

 

おとぎ話 眺め felicity(2018)

〈青春〉のイメージが強かったバンドだけれど、キャリアも積んで成熟の域へ。本作はfelicityからの3作目で、同レーベルとタッグを組んで以降、彼らは確かにスウィート・スポットを掴んだ。グッド・メロディーはそのままに、軽やかでキリッと締まった音、没頭必至のミニマムなアンサンブルが素晴らしい。 *田山

 

JIM O'ROURKE Sleep like it’s winter NEWHERE(2018)

インプロから歌モノまでを手掛ける音楽家の最新作は、1曲44分のインスト盤。以前から録り貯めてきたというシンセやピアノなどの素材をレイヤーし、アンビエント~ドローン的な音像を構築。心地良さと緊張感を内包する不思議な質感を作り上げている。当人のジャンルレスな在りようを象徴する一枚。 *澤田

 

石橋英子 The Dream My Bones Dream felicity(2018)

星野源からジム・オルークまで、さまざまな音楽家と共に活動するこの才媛もレーベルを代表する一人。ソロでもポップとアヴァンギャルドを自在に行き来してきたが、本作ではみずからのルーツと向き合い、ストリングスやアナログ・シンセを用いて、SFロード・ムーヴィー的な作品を作り上げた。 *金子

 

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