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EVISBEATS『HOLIDAY』 田我流やOorutaichi、高橋飛夢らも交え、休日を好日に変える極上の作品集

EVISBEATS『HOLIDAY』 田我流やOorutaichi、高橋飛夢らも交え、休日を好日に変える極上の作品集

最高の名盤『ムスヒ』から7か月、またしても名匠の届けるいい時間! 間違いなく休日を好日に変える『HOLIDAY』でいい感じのお休みをどうぞ~

 また6年ほど待つのかしら……と思い込んでいた人にとってはもちろん、そうでなくても驚きの一枚が届いた。この5月におよそ6年ぶりのアルバム『ムスヒ』を発表したのも記憶に新しいEVISBEATSが、早くもニュー・アルバム『HOLIDAY』をリリースしたのだ。田我流や鎮座DOPENESS、LIBRO、CHAN-MIKAらの客演も交えた『ムスヒ』は登場と同時にクラシック級の呼び声も高まった傑作だったが、そこに入ることを予想/期待されていた楽曲が多々あることをご存知の人も多いことだろう。

 というのも、2012年のセカンド・アルバム『ひとつになるとき』以降のEVISBEATSは、多岐に渡るプロデュース活動と並行して、さまざまなテーマでミックスCDをコンスタントに制作してきており、そこにはだいたいエクスクルーシヴという形で自身の新曲も収めることが常だったからだ。それらは後から7インチにシングル・カットされたり、一部は配信されたり、YouTubeで公式のMVが観られたりするものもあるが、まとめて聴ける作品集はなかった。素晴らしい出来映えで愛されてきたそれらのアルバム未収録トラックをコンパイルしたのが、このたびリリースの『HOLIDAY』というわけである。

EVISBEATS HOLIDAY AMIDA STUDIO(2018)

 なかでももっとも過去の曲となるのが、2013年のミックスCD『SPACE SHIP MIX』で披露された“蛍”だ。これは以降も絡んでいくIttoをフィーチャーしたもので、かの“ゆれる”にも通じるエレピとドラムスのタイトな鳴りが雨上がりの夜風のように流れる気持ち良い隠れ名曲だ。続いて世に出たPUNCH&MIGHTYとの情緒豊かなコラボ・チューンこそすでに大人気の“夜風に吹かれて”で、これは〈EVISBEATSとPUNCH&MIGHTY〉名義の『SESSION 1』(2014年)が初出だった(2015年に7インチ化、翌年に配信シングル化された)。さらにはジンの「LiFE AS A JOURNEY zine」の付録用に提供された大らかなソロ・チューン“Life as a journey”(2015年)は知らなかった人も多そうな一曲。成り立ちがイレギュラーな曲だけにここでまとめて聴けるのは嬉しい驚きではないだろうか。

 一方、2016年のミックスCD『Special Special』で披露されたのが“今日は休みだ”と“Special Special”。肩の力を抜いた田我流のラップを賑やかなジャジー・ループでもてなす休日讃歌の前者、ラヴァーズ歌手のasuka andoを迎えたネオ・ソウル風味の後者、どっちもを聴いても最高としか言えない。そして、2016年に出たもう一枚のミックスCD『明星』のエクスクルーシヴだったのが、Oorutaichiを迎えた穏やかなソフト・ロック調の“明星”……と、以上の6曲が『HOLIDAY』の目玉となる既発曲のラインナップだ。

 それらをループして楽しむだけでも心地良さは十分に保証されるはずだが、一方で初出のナンバーも6曲用意されているのは素晴らしい限りだ。まず、アルバムの幕開けを飾る高橋飛夢との“なんとなく”、WHALE TALXとannie the clumsyを招いた“Lullaby”の2曲は、EVISBEATS自身が〈まだ知らない才能に出会って曲を制作したい〉という意図で開催したオーディションをきっかけとして生まれたもの。もともとの交流をきっかけに共演に至ることの多いEVISBEATSだけに、このいつもと違う成り立ちから生まれた楽曲は非常にチャレンジングな試の産物と言えそうだが、出来映えはいずれもグッド・ヴァイブで満たされた仕上がりで今後の縁にも期待したくなるような馴染みっぷりだろう。

 コラボものではさらなる田我流との手合わせとして哀愁を纏った“Blue”があり、また『ムスヒ』に参加していたシンガー・ソングライターのPhokaによるたおやかなアコースティック・カヴァーの“いい時間 - Phoka version”も聴きどころ。他にもソロで届ける甘い口どけのラップ・チューン“Sweet Suger”があり、アルバムのラストを飾る“北信太アンビエント”は文字通りビートレスのアンビエント・トラック……ということで以上の12曲が収録。

 レギュラーなアルバムやミックスCDとは趣の異なるコンピレーション的な作品集でありながら、それゆえにヴァラエティーに富んでいるし、ゆったり気を抜いて休日にダラダラ流しておけるような、名が体を表した一枚に違いない。まあ、ダラダラ説明しても仕方がないタイプの作品なので、まずは何も考えずチェックしていただきたい。EVISBEATSが客演している別掲のLIBRO『SOUND SPIRIT』と並べて聴くもまた良し。いずれにせよ、その圧倒的な心地良さは保証します。

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