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――それでは本編のネタについて。見所や苦労した話などを教えてください。

01. GAME of which

設楽「オープニングで、短くてテーマにのっとったものをバンっとやるっていうのが大体あるんですけど、このネタは、2分の1のゲームみたいな、アプリゲームのような感じの想定で。俺、割とカードゲームとかボードゲームとかちょっとやるのが好きなんですよね。海外のとか」

――普段からですか?

設楽「最近はやってないですけど、昔は結構やっていたんです。海外の心理系のゲームとか。この中ではお題を数個かしかやってないですけど、本当はもっといっぱいあったんですよ。どんどんいろんなテーマや物でできるから、このゲーム自体作ったら面白いんじゃないかってなったくらいで。でもそうするとすごい長くなっちゃって。で、本当の頭の頭、3個しかやらないことにしたんですよね。でもただゲームやってるだけじゃ面白くないからって言ってこういう風にしたんだと思います」

――日村さんの動きが笑いを誘いますが、動きは日村さんが考えるのですか?

日村「そういうところもあるし、ここをこう動いてくれっていう時もありますね」

 

02. Bitching

――日村さんが赤ちゃんを抱いている姿が印象的でした。

日村「んふふふ」

――ご結婚された日村さんを意識したりは?

設楽「まぁ、でも日村さんは実際には子供はいないので。あの、子供あるあるみたいなものが結構入っていて。だから日村さんが一番あんまわかんないよね」

日村「そうですね。子供生まれたら奥さんの感じが変わるとか、家庭の雰囲気が変わるとかのあるあるはわからないんですけど」

設楽「だからこれは比較的、日村さんが音を上げたほうだよね。セリフ量も多いから」

日村「そうだね。結構これ中心に稽古やっていたんですけど、ひとりしゃべりが多いし、自分のこの体に入ってこないと、あれ次なんだっけ、とかってなっちゃう」

設楽「〈これふたりで言うことにできないかな〉って言われたんですよ」

日村「あー、言った(笑)」

――日村さんのセリフをですか?

設楽「そう、でもそうすると成立しないからって言ったんです(笑)。あとは、どっちかが聞いて、分けて文句を言うことにできないかなって言われたから、いやできないなってね(笑)。これたしかに大変なんですよ、ひとりでワーッて言うの」

日村「うん」

設楽「あと、これ意外とストーリーがあるわけじゃないというか、ブロック分けされているだけで話が同じなんですよ。だから結構どこを言っているかわかんなくなっちゃうっていう。だからこういうのは覚えづらいよね?」

日村「そうね。あと、単純に悪口だもんね、これ」

――白熱していましたね。

日村「そう。悪口って引かれたら終わりみたいなところがあるから」

設楽「そうそう。嫌な感じなんだけど嫌な感じを出過ぎないようにするのは難しいかな」

――でも共感できる人も多いのではないかと。

設楽「そうだと思います。割と子供いる男の人とかは、これ面白いって言ってましたね」

――実際のエピソードを盛り込んだり?

設楽「これはほぼ実際のエピソードですね。周りも含めて。普段奥さんの文句ばっかり言ってるのに妊娠したとか。屁で起きちゃって泣いちゃったというのはうちの子のことだし、あと冷蔵庫に入っている物を勝手に食べたら怒られるとか」

日村「労働の対価がどうとかね」

――基本は設楽さんエピソードですか?

設楽「基本はそれが多いですね。あとは、周りのマネージャーや作家とか、ちょうど子育てやった人たちのこともあって。あと、日村さんのこのイメージは「ハングオーバー!」のアランですね」

日村「うん(笑)」

設楽「それと、この日村さんが着ているTシャツは俺のTシャツなんですよ。実際にいくつかTシャツを赤く染めて、一番伸縮性がある柔らかいやつを日村さんが着るとピチッとなるサイズでやろうってなってね」

日村「うん。これおもしろいよねー。これTシャツが本当おもしろい」

設楽「俺がパジャマで着てたやつ。気持ちがいいんですよ、このTシャツ柔らかくて」

――最後の下ネタもですが、下ネタを下品に感じさせないおふたりのすごさがあると思います。ご自身たちとしてはいかがですか?

日村「んふふふ」

設楽「そうですねぇ、まぁ昔からそうですかね(笑)。へへへ」

 

03. 大村なつお

――ファンタジー感もあるストーリーで。

設楽「そうですね。こういうネタって結構あって、昔からやっていた部類のネタなんですけど、実は久しぶりかもしれないですね。なんかちょっと不思議な世界観で。たしなめるとか、音楽にノッて出てくるとかね。いきなり途中から全然違うみたいなネタの中の1個かもしれないですね」

――日村さんの歌唱シーンもありましたね。

日村「こういう人の役って結構やっていて楽しいんですよね。大物ぶっている人とかって、やっていて単純に楽しいんです。

――今回歌の練習は大変でしたか?

日村「歌はね、これは比較的覚えやすいので結構すんなり入ってきました。入ってこないやつもあるんですけどね、歌もセリフも。でもこれはそんなこと無かったです」

 

04. cocky TODA

設楽「これはたしか、いろいろなことが二転三転したんですよ。割と長めのネタですもんね」

日村「うん」

設楽「結構台本もいろいろ直したり、いろいろあったんですけど。ま、でも小道具だなんだっていうのは割と遊んでる中からやっているやつで、テープがビッて無くなっちゃうのなんて、やってたら本当に無くなっちゃって」

日村「そう、本当に無くなっちゃってね」

設楽「あーこれ面白いからこのままやろうか、とか。あとガムテープとか水をビヤーッてやるのとか、ラジオでやってるようなノリだったり」

日村「最初は結構会話劇の台本だった気がする」。

設楽「そうだね」

日村「これは結構楽しかったな、やっていて」

――テープをキャッチするシーンなど、細かい動きややり取りも息の合ったおふたりならではだなと。

設楽「こういうのをやるっていうのはあるけど、毎回そんな全部が一緒っていうわけじゃかなったんです。なんとなくのイメージのモデルがいる感じの、でも実際にはいないんですけど、そういうノリで作ったんですよね。生意気な後輩がいて、まぁまぁまぁとか言ってるけどなめられてるなぁとか、そういうふたりの関係性とかが、例えば会社のバーベキューとか見ていてもこういうノリとかがあるじゃないですか」

――設楽さんの蹴りもすごかったです。

設楽「あれもねぇ、そんなにすごくないんですよ。実はあれ日村さんがうまいんですよ」

日村「うへへへ(笑)。うまいってわけじゃないですけど(笑)。トダは顔に付けて押してくるから、それをやるっていう」

設楽「でもああいうのって、日村さんが昔っからうまいんですけど、なぜかバタバタするんですよね。あれ、普通に押すだけだと、押されて倒れるんですけど、押された~って倒れるあいだにバタバタするんですよ。そこが面白いんですけど、日村さんって一瞬、なんかガチャガチャってするんですよね。これは昔から。

日村「うーん」

――日村さんは無意識ですかね?

日村「うーん、それはたぶん無意識かなぁ」

設楽「なんかねぇ、この一連の普通の動きの中に1回こういうのが入るんですよね。昔からですね。だから面白いんだと思います。たぶん、あれで普通にベテンってなってもそんなだと思うんですけど、なんかガチャガチャするんですよね」

日村「ほ~。ふふふふふふふ(笑)」

 

05. snitching at the PIANO

設楽「つまみ食いピアノね。今回、〈マジ歌〉(テレビ番組「ゴッドタン」の人気コーナー)なんかでも一緒になるキーボードの方で、角ちゃん(角田晃広、東京03)とかとよく一緒にやっている(荒井)伝太さんっていうプロのミュージシャンがピアノを弾いてくれているんですけど、これなんて言うんですかね、アドリブのジャズ・ピアノ?」

日村「そう、ジャズ・ピアノ的なのをこうバラララ~ってやれるんですよね」

設楽「ちょっと短めのこういう雰囲気が変わったやつをやろうってなって、ここに入ればいいなって。じゃあ〈つまみ食いピアノ〉いってみる?みたいな感じで。伝太さんがピアノやってくれることになって、始めはこういうイメージでって伝えて、1回やってもらったんです。でもやっぱりネタだから、ここでもうちょっと空けないと動けないなとか。それで稽古場に来てもらって、実際に俺が動いたものに合わせてもらったりして。これは何度かやり直したり、微調整を重ねたりしてもらいました」

日村「2回くらい来てもらったよね」

設楽「本当は俺が弾ければいいんですけどね。だけど、無理だから」

日村「うん」

設楽「本番のここでこうやるとか、ここで音出すとか調整してね。でもやっぱりなかなか合わないんですよ、しょうがないんですけどね。でも、楽しかったです」

――昔から構想されていたネタだそうで。

設楽「昔から考えていたネタですね。人の目を盗んでちょっと盗み食いをするピアニストみたいな。よく、面白いなこれって言っててね。このネタと同時にあったのが、何かやるとすぐに指舐めるっていうやつ、そっちは映像か何かでやったよね」

日村「うん、やったやった」

設楽「もう、それこそ10年、20年以上近く前?」

日村「20年以上近く言ってる」

設楽「でも、何回かやろうかってなったことあったけど、その度に、面白くないと思ったんだよね(笑)」

日村「んふふふ。なんかね、稽古場で設楽さんが普通にこういう感じでマイムでやってるのが単純に面白くて」

設楽「それが、実際にやると意外とできないんだよね」

日村「そう、実際にやるとなるとね」

設楽「実際にこう食べたり、なんかやってみると。だから、映像だったらって考えてたのかもね。でも、俺はピアノの動きだけど、日村さんは勝手にね」

――勝手に(笑)

設楽「ルール的に俺が食ってる時は見ない、っていうのだけで」

日村「うん。うん」

設楽「別に動きは自由というか。ま、ある程度こっち行くよとかは、そういうのだけは決めてはいるんですけど」

日村「うん、そうね」

――改めて、斬新な設定だなと思いました。

設楽「そうですね、大根(仁)監督はこれが一番好きだって言ってくれてましたね(笑)」

――今回は定番の「赤えんぴつ」というネタはありませんでしたが、毎回〈音楽〉や〈歌〉のネタをやろうと意識されている部分はありますか?

設楽「まぁやっぱり、昔から観に来てくれた人が楽しむためにいろんな色のネタをやろうとする中で、音ネタと言っていいのかわかんないですけど、歌を歌ったりするのは楽しいだろうなっていうのはありますね。〈赤えんぴつ〉のネタが無いと、〈え、なんで無いの〉って言われるんです。もちろんあれが好きな人もいっぱいいてありがたいんですけど、〈別に毎回はやってないんですよね〉ってその度に言っていて(笑)。でもここのところ何年も続けてやっていたからかね」

日村「うん、そうですね」

設楽「でもまた今度やるかもしれないし」

 

06. one-half rhapsody

設楽「割と1本目のネタとリンクしているというか、キャラクターとか名前も出てきたりもするんですけど、〈過去と未来〉とか、舞台上を半分に分けたりとか、要は2分の1、〈one-half〉ですね。真ん中を境にして人格が入れ替わるとか、ここを通るとこうなるっていうネタって他の人も昔から結構やるんですけど、俺らもやってみたくて。それで今回、オークラ(放送作家)ともいろいろ話をしていて。これはまた別の話になるんですけど、〈東京に行くんだ〉って田舎でバスを見送って別れるシーンとかよくあるじゃないですか。俺はあれをやりたいんだっていうのが前からあって、だけどそれはちょっとできないから、どうしようかなぁってなっていて。今後それをやるかもしれないですけどね。なので東京に行った者と田舎にいた者というところから今回の話を作って、過去の話とかにつなげた感じですね。でもこれ結構強引だよね?」

日村「ふふふ」

設楽「舞台だから成立しているけど、結構強引っちゃ強引だよね、いろんなところがね。あと、日村さんがいろいろ役やるから面白いのかな」

――日村さんの変化、複数の役回しは展開も早いし動く量も多いしで大変そうでした。

日村「もうこれはそれが見せ所でもありますからね。何コイツひとりでコチャコチャやってんだっていうところの面白さもあって。より早くより早くっていうものだから、ぶっちゃけ本番でも結構こんがらがっちゃった回があるんですよね」

設楽「これもう始め、グチャグチャだったよね」

日村「グチャグチャになっちゃって」

設楽「あと本番の時はこういうカツラとか帽子とか付けて綺麗になってるけど、稽古場でやっている時はこういうのも被らないし」

日村「そう」

設楽「日村さんって、何かセリフを変な覚え方するんだよね。俺は本書いてるから、ある程度覚えているってのはあるけど、ちゃんと流れで覚えているけど、日村さんはそんな間違いしないだろっていうような間違いをするんですよね。ストーリーと関係ないところを言うとか、違う人の名前言っちゃうとか」

日村「うーん」

設楽「それだとありえないじゃんって思うけど、でも日村さんはなんかそういうセリフの入れ方してるから。だからこそ、ああいう急に違う人になるっていうのができるのかもしれないね。俺だとあんな切り替えできない。ああいう〈なんとかですぅ~〉〈おい、なんとかだろ〉〈なんとかですぅ~〉みたいなのって、やっぱりやる人によってはあんま面白くないな、何この人ひとりでやってんの?みたいのもある。

――キャラクターの切り替えの早さの問題ですかね。

設楽「そうそう、日村さんだとちゃんとキャラクターが見えてくるし、そういう見せ方が上手だから。でもこれもね、おさげと学帽と長髪のヅラでやってるんですけど、やっぱり最初のうちは間が空くんですよ」

日村「うん」

設楽「日村さんが出て、また日村さんが出て、っていう間に裏に行っていたらえらい時間かかっちゃいますから。で、早替えをするってなってから、帽子とおさげの半分のやつを作ってみたりしてね。あのあれ……誰だっけ?」

日村「清水アキラさんね(笑)」

設楽「清水アキラさんだ(笑)。男と女のデュエットをひとりでやっていたネタみたいにやればできるじゃんってなったけど、でもあれは男と女の化粧をバッキバキにやってるからわかるんですよね。帽子って半分にしてもツバがずっと付いてるから、あれこれじゃダメじゃんってなって、作ってみてわかるとか(笑)。大体そういうのも手作りなんで、鼻メガネとかを作ってくれる子がいるから呼んで、こうしたいああしたいってアイデアを出しながら、結構手探りでやってましたね」

――結構長編の作品でしたが。

設楽「でも、これ長く感じないよね」

日村「うん、感じない!」

設楽「これはやっていてもなんか割と長く感じなくて。だから、こういうネタは覚えやすいんだよね」

日村「これはね、比較的覚えやすい方だよね」

設楽「ストーリーがあるから。セリフの細々としたところはありますけど」

――舞台上の演出や照明の使い方も素晴らしかったです。     

設楽「あ、花火ね。そうそう、これは照明さんや音響さんは昔からずっと一緒なんで、〈花火でお願いします〉しか言わないんですけど。俺らは本番まで明かりは見えないし、客席からちゃんと見るっていうのはDVDでしか無いので、〈この明かりで入ります〉〈ここ、こうなります〉とかは場当たりでしかチェックできないんです。だからこういうのはお任せですね。あまりにも違うってなれば〈ちょっとこうしてもらえませんか〉とか〈明日こうなります?〉とかはありますけど。あの舞台を半分にするっていうのも、世界観を明かりで結構表現しなきゃいけなくて、実は俺らが思っているよりも暗いんですよね。映像に残す時はもっと明るくしなきゃ映らないとか、でも舞台上だともっと暗くしてほしいとか、もっとパキッとしてほしいとか、そういうのを一生懸命やってくれたんですよね」

――映画的な余韻、感動を残しつつも最後にしっかり笑いへと導く展開は、さすがでした。

設楽「あのカルメラさんの曲を入れるって決めていたんですよね。このライヴを通してずっとこのイメージだったんです。もうずっと聴いてました。カルメラさんは結構前から好きで、今回曲を使わせてもらおうってなって、割とそこに向かっていった部分はありますね。大声出すと感動するじゃないですか、いい曲流れた時に」

――大声を出すんですか(笑)

設楽「そうなんですよ、いい曲が流れて〈ぉおい!〉とかって言うと、すげえ〈ぅはぁっっ〉ってなるんですよね。それです(笑)。だからあれ良かったってみんな言ってくれるんです」

 

――今回のBlu-ray&DVDのタワレコオリジナル特典のステッカーの絵柄がこちらになります。(4種のうち2種をランダムでプレゼント)

日村「いいねぇ」                                  

設楽「いいですよね、全部」

日村「これVRオ○ニーのやつね、いいねぇ。ウォーキングのもね」

――このウォーキング日村さんはダイエットしている時の様子ですか?

日村「この格好は……だいたい近い、というかほぼほぼこれですね」

設楽「こういうのも、話を聞いて、この格好を日村さんに持ってきてもらってね」

日村「あ、そうだ俺持ってきたんだ」

設楽「そうそう持ってきて写真撮って、で、これにしてくれってね。全部いいっすね」

 

――最後にファンへ一言お願いします。今回、初のBlu-rayでのリリースもありますね。

設楽「そうなんですよ、初めてBlu-rayに。やっぱり時代の流れに乗らないとね(笑)。Blu-rayはちょっと高いですけど、やっぱり高画質で観ていただいて……。高画質で観て何になるんだ?っていうことにならないかなぁ」

――いえいえ(笑)

設楽「まぁでも途中に流れる映像も、綺麗に観られるってことだからね」

日村「うん、そうだね」

設楽「ま、そんな綺麗に撮ったやつは無いか(笑)。でもDVDもBlu-rayもね、面白いと思うので買っていただきたいですね」

日村「(バナナマンが)コントをやっているって知らない人とかにも観てほしいですね。結構面白いです」

一同「(笑)」

――だいぶ面白いと思います(笑)。長い時間ありがとうございました!

 

<こぼれ話>
今回、時間が無く直接お伺いすることはできなかったのですが、DVD&Blu-rayのパッケージにもこだわっていた部分があったようで、盤のイラストと穴の位置など、本当にちょっとした仕掛けと言いますか、こだわり部分をぜひ見つけてみてください。