シリーズも第三弾、第1・2巻ともに13番~18番が収められている。曲順も凝っていて、第1・2巻それぞれの同じ調の前奏曲とフーガを都合4曲続けて収録。調で俯瞰して聞き続けるという切り口が、バッハがその調を使っていかに創造し技法を凝らしたか、というのをつぶさに楽しめる。また、シリーズを通して個人的に愉しみにしているのは、武久さんの持つ楽器そのもの、あるいは楽器への造詣の深さからくる魅せ方といったもので、そこからくる多彩な音色に彩られたフレーズの数々は、まさに今ここでサウンドが産まれているかのような喜びに満ちた、古楽的霊感のようなものを想起させることである。