手つかずの状態の音源が生前発表された作品数を軽く凌駕する可能性がある、プリンス。海外のコンサート活動中でも現地のスタジオで録音していたというから、そもそも筋金入りの宅録オタクであったことは間違いない。この本ではそんな彼のレコーディングに関わったエンジニア、ミュージシャンへの取材を通じて、あまり明かされることのなかった密室の作業のヴェールを剥ぐ、初めての試み。個人的には《Sign ‘O’ Time》のあのリズムのアイデアがどのように生まれたのか、《Ballad of Dorothy Parker》のドラムトラックがなぜああなったのか知りたくて手にとった。