テンテンコとのフロリダや柴田聡子とのバナナジュースといったユニット活動でも知られるシンガー・ソングライターの新作は、初のセルフ・プロデュースによる歌モノ集。冷気の立ち込めたボサノヴァ“空になるまで”や物悲しい空気に包まれたネオアコ・チューン“ガラスの雨”など、夢幻的なナイロン弦の響きと現実感の薄い歌声がこちらの意識を遠い世界へと運んでいく。壊れやすくも美しく純粋なポップス・アルバムだ。