新しい時代に向けた、新しいバックストリート・ボーイズの世界の幕開け。〈自分たちは何者なのか?〉と自問自答し、自分たちが何であるか、誰であるかを表現したアルバム。それが『DNA』だ。

5年振りとなるバックストリート・ボーイズの新作『DNA』は、デビュー25周年を迎えた彼らの新しいチャプターの幕開けだ。『DNA』は、彼らを世界的なボーイズ・グループへと導いた作品『ミレニアム』を制作した時と同じような感触がある、とニック・カーターは言う。つまり、何かが起こりそうな、そんなビッグ・アルバムになる予感がするということなのだ。

BACKSTREET BOYS DNA Sony Music Japan International(SMJI)(2019)

アルバムからの1stシングルとなった『ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート』は全米を含む世界29カ国のiTunesチャートで1位、また久しぶりにダンス・パフォーマンスを見せた彼らに対し〈バックストリート・ボーイズ復活〉と賛辞が送られた。そしてグラミー賞のベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートという快挙まで成し遂げた。その喜びをSNSで伝えたメンバー。5人の次なるステップとしてこの曲が大きな自信に繋がったことは間違いない。

2ndシングル『チャンシズ』のソングライティングには、ライアン・テダー、ショーン・メンデスの名前がクレジットされていた。共通のプロデューサーを通じて生まれた『チャンシズ』は、5人の個性的なヴォーカルが生かされた新しいヴォーカル・チャレンジの曲となった。ニックはヴォーカルのテクニックが必要とされるこの曲を完璧にするために、メンバー全員努力をしたと話している。

また、バックストリート・ボーイズが影響を受けた先輩格のボーイズ・グループである、ジャージー・ボーイズ、ジャクソン5、テンプテーションズなどへのオマージュとなるモータウン風の曲や、若きバックストリート・ボーイズへのオマージュとなるアカペラ・ソングが収録されているのも注目だ。彼らはデビューしてから常にステージでアカペラを披露してきた。当時ミニ・バネリの口パク事件が問題となり、彼らは自分たちの実力をアカペラで披露することによって、歌えるボーイズ・グループとしてのステイタスを築いてきた。その当時の思いが込められている。

他にも「ラジオで流れていてもバックストリート・ボーイズだと気づく人がいないかもしれないけれど、新しい旅をファンと共に楽しめる曲になると確信したんだ」とニックが語ったとおり、ファンクな音やナッシュビルのソングライターとの楽曲制作などこれまでにない幅広いサウンドに挑戦している。タイトル『DNA』は、彼らが影響を受けたルーツを1枚のアルバムにまとめ、バックストリート・ボーイズのDNAを形成した作品といえる。〈自分たちは何者なのか?〉と自問自答し、自分たちが何であるか、誰であるかを表現したアルバムを作ったのだ。

世界で1億3000万枚をセールスしているバックストリート・ボーイズの挑戦は続けられている。ここからが新しい時代に向けた、新しいバックストリート・ボーイズの世界の幕開けとなる。