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DISCOGRAPHIC BACKSTREET BOYS
バックストリート・ボーイズを知るための8枚 
  

BACKSTREET BOYS Backstreet Boys Jive(1996)

欧州勢によるテディ・ライリー系のアップとティミー・アレンらUS制作陣の美しいバラードが交互に収まった、当時の方向性を窺わせる初のアルバム。ボーイズIIメンの初期を参照したようなバランスで、ユージン・ワイルド作の紳士的な“I'll Never Break Your Heart”はR&Bファンにも薦めたい。バキバキのNJSで迫るデビュー曲“We've Got It Goin' On”やジャクソンズ使いの“Let's Have A Party”などもいま聴くと実にフレッシュだ。

 

BACKSTREET BOYS Backstreet's Back Jive(1997)

いかにもシェイロン謹製なアップ“Everybody(Backstreet's Back)”で威勢良く幕を開け、真摯な名曲“As Long As You Love Me”など、前作の成果を受けて舵取りが明確になった2作目。US勢では優美なスロウ“All I Have To Give”をヒットさせたフル・フォース、フィッツジェラルド・スコットらが〈本格派〉の側面を引き出す仕事ぶり。素朴な“That's What She Said”ではブライアンが初めてソングライトと制作に関わっている。

 

BACKSTREET BOYS Millennium Jive/ソニー(1999)

ようやく同発となった本国USで初のNo.1に輝き、各国のチャートを制して3千万枚超えのセールスを叩き出した金字塔。代表曲“I Want It That Way”や“Show Me The Meaning Of Being Lonely”などマックス・マーティンとクリスチャン・ランディン組が大半を手掛け、全体的にドラマティックでマイルドな印象を増している。DA PUMPも歌った“Back To Your Heart”やジョーのカヴァー“No One Else Comes Close”が意外な聴きモノ。

 

BACKSTREET BOYS Black & Blue Jive/ソニー(2000)

人気が完全に社会現象と化すなか、またも凄まじい初週セールスで話題になった4作目。猛々しい幕開けの“The Call”や好青年なハーモニー・ポップ“Shape Of My Heart”で前作のムードを踏襲しつつ、5人の共作をベイビーフェイスがプロデュースした“Time”、当時のロドニー・ジャーキンスらしいビート感のアップ“Shining Star”といった大物コラボも実現させている。メンバー各人の関与やジャイヴ組による隠れた好仕事も聴きどころだ。

 

BACKSTREET BOYS Never Gone Jive(2005)

活動休止と関係修復を経て仕上げた5作目。5年ぶりという時代の変化や個々の興味を意欲的に反映してポップ・ロックやカントリーの要素が強調され、マックス・マーティンもDrルークと組んで雄大なスケールの泥臭い意匠に挑んでいる。ビリー・マンやジョン・シャンクスら初顔合わせの名前が並ぶなか、エモーショナルな先行ヒット“Incomplete”で抜擢されたダン・マッカラは以降もBSBやメンバーの活動を援護するキーマンとなった。

 

BACKSTREET BOYS Unbreakable Jive(2007)

厳かなアカペラで幕を開ける4人体制で初のアルバム。ダン・マッカラとガッチリ組んでナッシュヴィルで制作を始めたというプロセスもあって前作以上にアメリカン・ロック~カントリー色は濃いが、そこに90年代回帰のダンサブルなアプローチやレゲエの要素などを挿入しているのが特徴だろう。なかでもジョン・シャンクスの手掛けた名品“Helpless When She Smiles”で冴え渡る歌心は流石。日本では初めてオリコン首位を獲得した。

 

BACKSTREET BOYS This Is Us Jive/ソニー(2009)

時流のさらなる変化に呼応して従来の持ち味でもあるポップなダンス路線に立ち返った7作目。レッドワンを迎えたエレポップ“Straight Through My Heart”がスマッシュ・ヒットしたほか、T・ペイン、ソウルショック&カーリン、ブライアン・ケネディ、ライアン・テダーらと組んで同時代の電化アーバンな音世界に挑んでいる。ジム・ジョンシンによる劇的な表題曲、マックス・マーティンと久々に再会した“Bigger”など隅々まで佳曲揃い。

 

BACKSTREET BOYS In A World Like This K-BAHN/BMG Rights/ソニー(2013)

自分たちのレーベルから発表した5人の再結集作。マックス・マーティン&クリスチャン・ランディンによるアップの表題曲が導入から何とも感動的に響き、以降はマーティン・テレフェとモーガン・テイラー・リード、ダン・マッカラの三本柱がよりオーセンティックな意匠も含めて新たなBSB像を作り上げていく。EDMからフォークまで楽曲は多彩だが、ジェイムズ・モリソンがペンを交えたソウルフルな“Try”が抜群に素晴らしい。