フル・アルバムは意外や3年ぶり。今回は己のルーツを詰め込んだそうで、レイ・パーカーJrの洒脱なギターで始まる冒頭曲“Get it together”を筆頭に、デビュー前に修行したLAのフィーリングを醸す局面が好ましく目立つ。全編ファルセットで押す同曲はMichael Kanekoが作詞とコーラスを担当、ジェイムズ・ギャドソンがドラムを叩いていて、そういった布陣も全体のポイント。ただ、黒田卓也やジョン・スコフィールド、サイプレス上野、おかもとえみ、Zeebra、売野雅勇ら豪華な面々を招いたことで、却って主役の美意識が際立っているのも重要だ。白眉は(いまどき珍しく)煙草をモチーフに〈粋〉を表現した“煙のLADY”。今年40歳になる節目で原点に意識が向いたのかどうか、何にせよ今回はズバ抜けてる。傑作。