ANARCHYの歩みと『NEW YANKEE』を楽しむための12枚

 ヒップホップという夢を糧に京都の団地からメジャーの大舞台へと駆け上がったANARCHY。ここでは彼が〈NEW YANKEE〉になるまでのキャリアを振り返っておこう。14歳の頃にラップを始めた彼は、2000年に地元の仲間のYOUNG BERY、NAUGHTY、JC、DJ AKIOと共にRUFF NECKを結成。やがてRYUZOの主宰するR-RATEDと契約すると、前年のシングルを経て2006年に初のアルバム『ROB THE WORLD』を投下。BACHLOGICやSUBZEROといった全国区のプロデューサーを中心に、本家を迎えたM.O.S.A.D.のリメイクなどトピックも織り込み、生々しい路上感と共に〈不良音楽〉としての最高峰をいきなり完成させた。

2006年作『ROB THE WORLD』収録曲“K.H.B.K.”

 それから3年、半生を綴った自伝「痛みの作文」の出版を挿んでの2作目『Dream and Drama』では、前作にも参加していたBlast Off Productionsなど数組にプロデューサーを絞り、統一感のあるソウルフルなサウンドに乗せて己の痛みをリリックに託し、夢への切実さをドラマティックな楽曲へと昇華。代表曲“Fate”を含む、重みのある傑作をモノにしている。

2008年作『Dream and Drama』収録曲“Fate”

 一転して3作目『Diggin' Anarchy』(2011年)はMUROが全曲をプロデュース。ここでは彼の新たな面をMUROがディグするというテーマが掲げられ、シネマティックな緊迫感に満ちたファンキーな大名曲“Side B”やPUSHIMとのラヴソング“Magic Hour”などいままでにないタイプの曲にも開眼。なお、同年12月にはHOME GROWNがバックを務めた生バンド編成のライヴを敢行しており、その模様はDVD「ANARCHY LIVE AT BILLBOARD LIVE TOKYO」で確認できる。翌2012年には、結成12年目にしてついにRUFF NECKの初作『RUFF TREATMENT』を完成。悪友たちとのハード・ライフを90年代マナーも交えた集団ならではのノリで見せつけた。

2011年作『Diggin' Anarchy』収録曲“Magic Hour”

 そして2013年は、DMC世界チャンピオンのDJ威蔵のミックスによる『60 Minutes of ANARCHY』を経て、フリー配信でバズった4作目『DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)』をドロップ。ビートもリリックもブッ飛んだパーティー・スタイルはLEPボーガス・ボーイズの参加というニュース以上に大きな話題となり、『NEW YANKEE』への道を拓いたのだった。

2013年のミックステープ『DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)』収録曲
“Much Later”

 

▼ANARCHYの作品

左から、2006年作『ROB THE WORLD』、2008年作『Dream and Drama』、2011年作『Diggin' Anarchy』、2012年のライヴDVD「LIVE AT BILLBOARD LIVE TOKYO」、RUFF NECKの2012年作『RUFF TREATMENT』、2013年のミックスCD『60 Minutes of ANARCHY Mixed by DJ IZOH』(すべてR-RATED)
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