聴いてふと想起したのはSuchmosなのだけれど、それは〈黒さを交えたバンド・アンサンブル〉という端的な共通項以上に、〈音にワイルドな色気が宿っている〉という点から。ジャズやポスト・クラシカル × J・ディラなソロ作に始まり、米津玄師やぼくりり作品への参加といった外仕事でも個性を放ってきた常田大希の率いる4人組が鳴らすのは、ネオ・ソウル的なビートとオーケストラルなストリングスをふんだんに使用したミクスチャー・サウンド。アカデミックな素養とある種の初期衝動とも言える熱量が同居していて、クールでありながらタフ&ラフ。本作は、そのうえで歌がエラくキャッチーに響くという魅惑のバランス感覚に貫かれたメジャー・デビュー作だ。このままどんどんメインストリームへ突き進んでほしい。