〈西のインターネット、東のフォニー・ピープル〉とも例えられる、ブルックリン拠点の気鋭バンドによる2作目。先行曲“Before You Get A Boyfriend”における80~90年代R&Bオマージュ然り、ジャズ、ボッサ、ファンク、フュージョン、ヒップホップまで、とろけるような音像の中に溶け込んだ豊富な音楽的語彙からは、〈ノー・ジャンル〉を謳うのも納得のカラフルな魅力が聴き取れる。そして何より、アルバム中盤の簡素で美しい小品群をはじめソングライトそのものの力量が素晴らしく、ときにスティーヴィー・ワンダーを思わせるスタンダード感さえ匂わせる。過去作と比べてよりマチュアな洗練へと向かっている印象もあるが、音楽と佇まいに気負いや大仰さがなく、リラックスした聴き心地のままなのは美点だ。