ローリー・アンダーソンは“Language is the Strategy”と言ったのだと思ったのだが、どうやらそれは勘違いで“Language is a Virus”と言ったのだというのがわかった。言語がすくいとり、その言葉たちが編み出す世界に侵されているのは我々だというのだろうか。いくつもの言語が存在し、そのいくつかをブリッジして閉じた言語の世界に穴を開ける。翻訳家は日本語にはない外国語の表現、外国語にはない日本語の表現の間に追い込まれなんとか日本語の世界に外国語の世界を写し込んで来た。この本はその訓練の記録。読む辞書であり、時代の更新を引き受ける辞書。