米津玄師を筆頭とする、動画投稿サイトからメインストリームへ進出し、シーンを問わない認知を得ることになりそうなシンガー・ソングライターがまたひとり登場。優れたメロディーセンスにシャープなギター・サウンドを掛け合わせる作風にルーツであるBUMP OF CHICKENやRADWIMPSからの影響を滲ませつつ、Eveらしい凝ったブレイクやトリッキーな曲展開が際立った印象を残すこの新作。低音からファルセットまでを巧みに操る歌唱は、繊細さだけでなく官能性や逞しさも湛えて、ヒロイックに響く。エレクトロニクスを大幅に採り入れた“やどりぎ”、アコースティックな風情の“楓”など音楽性も拡がり、初期衝動だけではない奥行きも感じさせる。次世代の台頭を象徴する一枚になりそうだ。