古典文学をリミックスするというのは音楽家ならではの発想! アジカンの後藤正文が宮沢賢治の三作品(銀河鉄道の夜/よだかの星/双子の星)を現代向けにわかりやすい言葉で再編集し、名作に新しい輝きを与えている。原作の詩情を大切にしたゴッチのありったけの愛にあふれたリミックスは、宮沢賢治を読んだことのない二十一世紀の子供たちにはみずみずしい感覚に満ちた初めての読書体験となり、はるか昔に読んだことのある大人たちもジョバンニとカムパネルラのあの夜の旅が新しい感覚として胸によみがえってくるだろう。素敵な挿画もこの本の世界をぐっと広げている。