いまやテレビ番組でもおなじみのぱいぱいでか美の自伝。なんでそんな名前になったのか、なんでテレビ番組に出られるようになったのか、といった誰しも抱く疑問への答えはもちろんのこと、進学、恋愛、コンプレックス、タレント活動についてなど、ありのままの彼女の半生が語られる。

一見ドキッとするような名前とは裏腹に、全体を通して語られるのは、周囲の人への感謝の気持ち。両親、友人、バンド・メンバー、スタッフ、師と仰ぐ大森靖子や、愛してやまないももちを始めとする多くのアーティストたち、そしてファンのこと。もっと自己中になったっていいくらいなのに、人との繋がりを大事にし、そこへの感謝を忘れない。語られる半生のなかには、めちゃくちゃ壮絶な山あり谷ありがあるわけではないが、苦しい時期もあるにはある。しかしいつも自身を俯瞰で見ていて、読者を直接刺激させないような、どこかのほほんとした優しい雰囲気が全体を包んでいるのも良いところ。

いまは普通の人だけど、ミュージシャンでもアーティストでもアイドルでもとにかく何かを始めたい。でも何からやっていいかわからない。そういう人はきっと勇気とヒントをもらえると思う一冊だ。