鈴木京香の芸能活動30周年を記念し、初の音楽作品がリリース決定! 仕掛け人は何と! 藤井隆。しかも自身が主宰する〈SLENDERIE RECORD〉から鈴木京香の挑戦を完全バックアップ。そこで、自身も音楽活動を行い、今回プロデューサーとして手腕を振るう藤井隆に鈴木京香CDリリースまでの経緯やCDお渡し会について迫った!

作品と連動して90年代風タイアップCMを大量に作ったりと、レーベルを立ち上げ以降の藤井隆の本気ぶりは異常なんだが、今回はおそらく過去最高クラス。舞台で共演した鈴木京香を口説き落として、89年に女優デビューしてから一切歌手活動をやったことのない彼女のCDをリリースさせたのだ!

鈴木京香 『dress-ing』 よしもとアール・アンド・シー(2019)

藤井隆「舞台のときに鈴木京香さんが〈平成元年デビューで30年なんです〉っておっしゃってて。そのとき劇場でパンフレットしか売ってなかったんですね。〈30周年記念のグッズみたいなのって何かないんですか?〉って聞いたら、〈いや無理ですそんなの〉っておっしゃるんで、〈なんとか作っていただけませんでしょうか〉って言って。その日、帰ってiPhoneでブワーッと企画書を書いて」

この行動力と速度が藤井隆なのである。

ただし、学生時代はゼルダのコピーバンドでベースを弾いていて、G-SCHMITTも好きだったという未確認情報はあるけれど、どれぐらい歌えるのかも全然わからないわけで。

藤井「だから、最初は〈鼻歌のCDは無理ですかねえ? たとえばご家族とかマネージャーさんとの移動の車の中でとか、フフフーンぐらいは聴いたことあるんだろうなと思って、それはジェラシーなんで、鼻歌でいいので歌っていただけませんか? 私、レーベルやってまして30周年の記念にCDを出すのは無理でしょうか? 冨田謙さんとtofubeatsさんとDÉ DÉ MOUSEさんという3人に作ってもらいたいです。ファンの方は、もちろん街中で商品のポスターとか見たことはありますけど、写真集とかもないんで、ヴォリュームのある写真も見たいのでブックレットつきで、ダメでしょうか?〉って企画書を書いて」

その結果、鈴木京香がtofubeatsの“水星”を誠実そうな声で歌うという奇跡が起きたのである! さらに、これまでファンイヴェント的なことをやった経験もない彼女のCDお渡し会も実現! もちろん司会は藤井隆!

藤井「……これ、どうやったら京香さんのファンに伝わりますかね? それを思うと寝れなくて。いま一番私に必要な薬は、鈴木京香さんのファンの方の〈行きます!〉とかのポジティヴな言葉。そういう言葉を早くいただかないと、どうにかなりそうなんですよ。こないだ膝の手術したんですけど、麻酔が覚めて一番最初に考えたのが、〈えっと、SK(極秘プロジェクトだったので隠語)のあれどうなってるんやろ、電話電話〉だったので。たとえば自分でいうと、〈へぇーっ、キリンジさんが作った歌とか歌ってたんですね〉とか〈Tommy february6さんがプロデュースしてたんですね〉とか言われることがホントに申し訳ないというか、プロモーションと自分のアピールとタレントヴァリューがダメなんだなって思うんですよ。でも今回のお渡し会は、〈そんなことやってたんですって?〉って鈴木京香さんのファンの方に街中で言われたら、どう謝っていいかわからないから」