落語家初の人間国宝・五代目柳家小さん師匠の決定盤は王道の全4席を収録。師匠の得意ネタとしても知られている「青菜」「禁酒番屋」に加え、「不動坊」は広い世代に親しまれている噺。「お神酒徳利」は上方でも東京でも親しまれる一席。旅籠のかよい番頭の善七は、師走の大掃除に、なくすまいと自ら水瓶に隠したお神酒徳利をでっちあげの〈そろばん占い〉で見つけたかの如く振る舞う。〈占い〉に関心した鴻池善右衛門の支配人に連れられ、鴻池の娘の病を治すべく大坂でそろばん占いをすることになる。占いの術などない善七の運命は如何に……! 師匠の語り口と業に心ゆくまで浸れる一作。